限界消費性向からも日本がとるべき政策は明らかなのだが・・・

「限界」という言葉からイメージされるのは、ある一定の限度といったところでしょうか。
しかし、経済学における限界の意味はまったく異なったものとなります。
何かが変化したときにもう一つのなにかがどれだけ変化するかを表すのが経済学における限界という言葉の意味となります。
同じ言葉でも分野によって意味が異なってくるとはいささかややこしい。しかし、そういうものだと割り切って覚えておくほかなさそうです。
限界消費性向ってどんな性向?
人間は所得を得てもすべて消費に回すわけではありません。人によって程度は異なりますが、将来に備えて貯蓄にも回すのが一般的でしょう。
所得が1増えたときに、消費がどれだけ増えたかを示す割合のことを「限界消費性向」と呼びます。
増えた所得分をすべて消費に回せば限界消費性向は1となるわけですが、マクロで見た場合、そんなことはありえません。したがって、限界消費性向は必ず1を下回ります。
金持ちは金が増えても使わない
限界消費性向は所得の大きさによって異なります。
所得が多くなるほど限界消費性向は逓減していきます。
人間、最低限は食べていかねば生きていけない。また、所得の多寡にかかわらず、電気・ガス・水道などの生活インフラは必要です。
所得が少なければ多くを消費に回さざるを得ず、限界消費性向の数値は大きくなります。
所得が多ければ貯蓄に回せる金額も多くなりますから限界消費性向は小さくなるのが普通です。
よって限界消費性向をグラフにすれば所得が多くなるほど伸び率が低くなる右肩下がりのグラフとなります。
以下は2016年の世帯年収階層別の限界消費性向です。

(出所:日本銀行)
きれいに右肩下がりになっていることがわかります。
もともと年収の高い人は、それ以上に年収が伸びても消費はそれほど増やさないということです。
GDPの伸びは消費に左右される
日本のGDPが世界で突出して伸び悩んでいるのはほとんどの人が知っているでしょう。

(出所:世界経済のネタ帳)
GDPは分配の元となりますから、端的にいえば日本人は世界に比べて相対的に貧乏になっているといえます。
また、GDPを支出面からみた場合、GDP=民間消費+政府支出+設備投資+経常収支 となります。
もっとも大きいのが民間消費です。
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愚策の積み重ねで貧富の差拡大
民間消費を伸ばせばGDPが増え、国民が豊かになります。
しかし、バブル崩壊後に日本政府が行った政策はその足を引っ張るものでした。消費増税と所得税の累進課税税率のフラット化です。
上記で見たとおり、金持ちはますます金持ちとなっても金は使わない。一方で、大多数の庶民は所得のほとんどを消費しているため、消費増税により消費に対する罰金を課せられれば、買う量を減らすほかありません。
消費増税をしても税収は思ったほど伸びず、金持ちの貯蓄を助けるだけといった構図です。
以下は日本における1984年から2014年までの資産格差の推移です。

(出所:内閣府)
注目すべきは資産ゼロ世帯の比率が1990年代後半以降、一気に増えている点でしょう。
貧乏人がますます貧乏になる政策を打ち続けたのだから当然の帰結といえます。
最後に
岸田政権の支持率が一気に下落してまいりました。
当たり前です。何にもしないのですから。
不作為の罪に対する罰だといえるでしょう。
現下の経済状況を見れば消費減税が必要なことは上記の点からも明らかです。しかし、消費減税は視野に無いと断言しているのだから国民の生活困窮などまったく考慮に入れていないのでしょう。(態度だけは装うが・・・)
7月の参院選で自民党大勝利などという展開になれば、コロナ増税への道を突き進みそうなのが今の岸田政権です。
それだけはなんとしても避けなければならない。失われた30年がさらに伸びることになります。
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