同じ海外生産。しかし2010年代以降には意外な変化が見られる

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1985年のプラザ合意以降、日本の製造業は円高に耐えかねて徐々に海外へ工場を移転し、海外現地生産の比率は高まる一方でした。

しかし、同じ海外生産とはいえ、2010年を境にその意味合いと様相は大きく異なってきているといえます。

そこには意外な側面が見てとれるのです。






円高による暗黒時代


急激な円高が進んだ1985年以降、製造業における海外現地生産の比率は高まる一方でした。

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(出所:内閣府)

その影響で国内の雇用は失われ、失業率が一気に上昇し、リストラなどという言葉が流行り出したのを覚えている人も多いでしょう。

失業は自殺を生む。

失業率の上昇とともに自殺率が急上昇し、年間の自殺者数が2万人台から3万人台へと一気に増加したのです。

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(出所:ニッポンの数字)

暗黒の時代だったといえます。そして、その暗黒はいまだ完全には明けていないというのが実態です。

海外進出の意味合いが変化


急激な円高進行により、日本人の給与はドルベースで大きく跳ね上がりました。

そのため急激に国際競争力が低下し、企業が海外の安い労働力を求めたのは間違いありません。

しかし、その傾向に変化が表れ始めています。

2007年の調査では、企業が海外進出する動機として、安い労働力の追求が32%を占めていたわけですが、2016年には半分の16%にまで低下しています。

安い労働力に変わって追求されたのは、市場の確保と最適な立地による生産です。

円高の被害による逃げの海外生産から、市場拡大のための攻めの海外生産が始まったと考えることができそうです。

中国依存度を下げる必要性


海外現地法人も一時期の中国一辺倒からは脱却しつつあるのではなかろうか。

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(出所:経済産業省)

2017年以降に再び増え始めているのが不気味です。

中国への過度な依存は安全保障上、大きな懸念材料であるからです。

地域別の分布で、中国がまだまだ3割近くを占めます。

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(出所:経済産業省)

製造業の国内回帰と他の地域への分散により中国依存度を下げないと日本は中国に首根っこを押さえつけられてしまいます。

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ルール無視で中国は成長


中国は横暴なやり方で世界経済の中の存在感を高めたことは疑いようがありません。

中国でクルマを売りたければ、中国企業と合弁会社を作るほかありません。輸入は認めていないからです。そして株式の過半数は中国企業が保有します。

合弁ですから技術はいとも簡単にかすめ取られる。

巨大市場であることを利用し、国際的な貿易秩序など無視してきたのが現在の中国です。

最後に


円安が進んでいますが、製造業の国内回帰には追い風が吹いているといえます。

円高で日本はボロボロにされたわけですが、今こそ円安を利用して国内製造業の復活に備えるときだといえます。

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