日銀人事を先回り。海外投資家によるJリート売り

ビル

世界が金融引締めに走る中、日本は景気回復が鈍く金融緩和を続けています。

しかし、円安が続く中いつまで金融緩和政策を続けられるのか、懐疑的な見方が多くなっているようです。

その要因の一つが2023年の黒田日銀総裁の任期切れです。

そして、この影響はJリートに大きな暗い影を落としつつあるのですから、Jリート投資家にとっては見過ごせない問題なのです。






円安と金利


円安が急激に進んだのは2022年3月からです。

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これがアメリカの政策金利引き上げの影響であることは明らかです。

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水が高きから低きに流れるかのごとく、お金は金利が低いところから高いところへと流れていくのでした。

Jリート、買い続かず


リートはお金を借りて不動産に投資しているのですから金利上昇はマイナス要因。

しかし、日本は金利が上がらないのですからJリートの魅力は薄れない。というわけで2022年3月以降、Jリートは買われ、東証リート指数は2000ポイント台を回復したのでした。

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その後もアメリカは金利上昇が続きますが、なぜかJリートの値上がりは続かず、6月以降はむしろ下落基調にさえあるといえます。

Jリートを動かす投資家


いったいどうしてなのか?

それにはいったいJリートを動かしている投資家が誰なのかを知る必要がありそうです。

Jリートの時価総額の約1/4を保有し、売買高に占める割合の7割を占める投資家がいます。

海外投資家です。

その海外投資家が2022年5月以降、Jリートを売ってきています。

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海外勢による黒田任期切れ売り


海外投資家がJリートを売っている理由はなんなのでしょうか。

一要因として、日銀人事が挙げられます。

ご存じのとおり、黒田日銀総裁は黒田バズーカという言葉に象徴されるように、強力なリフレ派だといえるでしょう。

欧米各国が金融引締に走る中、日本が金融緩和を続けるのは黒田総裁の意向が強く働いているからだと考えられます。

しかし、黒田日銀総裁の任期は2023年4月までです。残り9か月余りしか残されていません。

岸田政権下の日銀人事は・・・


次期日銀総裁が誰になるのかは知る由もありませんが、岸田政権は財務省の下僕ともいえる政権であり、財務省の意向が強く反映された人事になるものと推測します。

となれば日本も金融引締に舵を切ることが想定されるわけです。

金利が上昇すればJリートにとっては逆風が吹くことになります。トホホ・・・。

金利上昇のトリプルデメリット


Jリートの平均有利子負債比率は約45%。

仮に借入金利が1%上昇すると、分配金の原資たる利益が16%減少するといいます。リートは利益の9割以上を分配するのが普通ですから、分配金がそれだけ減少すると想定できるわけです。

また、金利が上がれば債券の人気が高まり、相対的にJリートの人気は低くなります。

これまたJリートにとって逆風となります。

そして、金利が上昇すれば景気に冷や水を浴びせることになる。

景気後退に陥れば、不動産価格は下がるし、賃料も下落します。

これらのトリプルデメリットが意識され、Jリートは売られ始めているというのが現状の姿です。

最後に


次期日銀総裁は2022年後半にも内定するのではといわれています。

それまでの間、海外投資家が買いに転じるとは思えません。

年内は軟調な相場が続き、誰が日銀総裁になるかによって、2023年は大きな動きを見せる年になるのではなかろうか。

そんな予測が成り立つのであります。

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