ニトリ、為替読み違えで36期連続増収増益に黄信号灯る

日本の家具市場で圧倒的シェアを誇るニトリ。これまで35期連続で売上高を伸ばし、経常利益の増益を維持してきました。
しかしながら、最近の円安と物価高がニトリの業績に陰を落としています。
このままでは36期連続の増収増益達成は危ぶまれます。いよいよ成長が止まるのか、それとも踊り場にすぎないのか、ニトリの業績そして株価は今、剣ヶ峰に立たされています。
ニトリの業績悪化要因
ニトリの第1四半期となる2022年3月~5月期、純利益は前年同期比に比べて14%減少しました。
業績悪化の要因は以下の3つに集約されます。
1.予想以上の円安
2.物流費の高騰
3.原材料費の高騰
では1つずつ見ていきましょう。
予想以上の円安
ニトリは商品の9割を海外生産に依存しています。
そのため円安になれば商品の調達コストが上昇します。
1円円安になると20億円の減益要因となるといいますから、2022年3月以降の円安は相当のインパクトを与えたことでしょう。
もっとも、ニトリは2022年9月まで1ドル114円90銭で為替予約をしているといいますので、とりあえず、9月までは大幅な円安の影響は避けられます。
それでも昨年度よりも減益となっているのは、昨年度の同時期は110円を上回る円高であったことが要因であると考えられます。

物流費の高騰
2つめの要因として、物流費の高騰が挙げられます。
世界的にコンテナ船の需給がひっ迫しており、輸送コストが高騰しています。
以下はバルチック海運指数の推移です。

ピークは脱したとはいえ、コロナ前に比べて依然として高止まりしています。
これがニトリのコストにも跳ね返っているということです。物流費の高騰が27億円の減益要因となっています。
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ウッドショックがニトリを襲う
3つめの要因は原材料費の高騰です。
2021年半ばからの木材価格の高騰は凄まじい。

(出所:経済産業省)
これは金融緩和により世界的に住宅着工件数が増えたにもかかわらず、物流が滞っていたことによる影響です。
既存店売上が伸びない
上記のトリプルパンチがニトリを襲っているといえます。
巣ごもり需要も一巡し、既存店売上高は2022年6月まで5か月連続で前年同期比を下回っています。なんとか新規の出店で売上増を維持している状況なのです。
ニトリは今後、一部商品で値上げも検討しているといいます。
しかし、今の日本で値上げはなかなか受け入れられない。それは買い控えによる売上減少につながるリスクをはらんでいます。
最後に
ニトリの似鳥会長は為替見通しの誤りを会社始まって以来の失敗と述べています。
似鳥会長は相場勘が優れていることで有名ですが、今回は予想が外れたということでしょう。もっとも最近は金融機関の意見を参考にしていたようであり、自身の相場勘ではなかった可能性が高い。
今後は、自身の見通しを信じてもらいたいものです。
似鳥会長の見立てでは、円は長期的には110円くらいにはなるということであり、今の円安は行き過ぎだと考えている模様です。
ただし、日銀人事を気にしており、リフレ派の日銀総裁就任を嫌がっているようです。立場によって人それぞれといったところなのでしょう。
36期連続増収増益の達成には暗雲が立ち込めてきています。
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