日銀人事から2023年は円高、株安への回帰と予想

会議室

黒田日銀総裁の任期が2023年春で満了となります。

黒田総裁はリフレ派ということで、大胆で前例にとらわれない異次元金融緩和を実践してきたわけですが、この路線が変わる可能性が高いと思われます。

金融緩和から金融引締への路線変更です。

しかし、日本経済がそれなりに復活し、円安で輸出企業の採算が好転し、株価が大きく上昇したのは黒田日銀による異次元金融緩和によるところが大きい。

その流れが逆転すれば当然、円高、株安とならざるを得ないでしょう。好転した雇用情勢にも再び魔の手が忍び寄る可能性は十分にあります。






金融政策を決める者


日本銀行の金融政策を決めるのは、金融政策決定会合です。

金融政策決定会合は、9人の日銀政策委員会により開催されます。

9人の内訳は日銀総裁、日銀副総裁2名、日銀審議委員6名となっています。

日銀の人事は政府が案を決め、国会の同意を得ることで就任となります。そのため、その人事は時の政権の意向が大きく反映します。

金融政策決定会合において、議案は多数決で決まるため、人事は日銀の金融政策に直接影響するといえます。

金融政策決定会合は原則として、年8回開催されることになっています。

黒田日銀の輝かしき功績


黒田日銀がスタートしたのは2013年3月です。

異次元金融緩和によりマネタリーベースが2013年から急激に増加していることがわかります。

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(出所:三橋貴明氏ブログ)

また、それに伴い超円高が是正され、株価が上昇していったこともわかります。

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そして失業率は下がり、自殺者の数も大きく減少しました。

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(出所:ニッポンの数字)

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リフレ派の勢力減退中


2022年7月19日、政府は任期満了に伴なう新日銀審議委員に岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長の高田創氏を国会に提示しました。

金融緩和に積極的なリフレ派である、片岡剛士氏に代わる後任の高田氏は大規模な金融緩和の副作用を問題視する発言が過去に多く見られ、リフレ派とは一線を画すと見られています。

来春には黒田総裁とともにリフレ派の若田部副総裁の任期も切れます。

後任人事にリフレ否定派が就けば、日本の金融政策は一気に転換することになりそうです。

現状、片岡氏が抜けることで日銀審議委員の中のリフレ派は3人にまで減ってしまいました。

明らかにリフレ派を駆逐しようという動きが出ていると思われます。この背後には当然として、財政規律を重んじる財務省の存在があることは明らかでしょう。

財務省からすれば岸田政権は与しやすく、操り人形のようなものです。

日銀人事で岸田政権の本性がわかる


操り人形であるかは、次期日銀総裁および副総裁の人事を見ればわかる。

リフレ派排除であれば、操り人形であることがはっきりするでしょう。

しかし少々流れが変わったとすれば、安倍元首相が凶弾に倒れたことです。岸田首相としては安倍元首相色を一掃したかったのでしょうが、亡くなったことでかえって安倍元首相の影響力が強まったともいえます。

反安倍人事を繰り返せば、国民を敵に回しかねない。岸田首相は世間の空気をひたすら読みながら「検討」していくのでしょう。

最後に


とはいえ、岸田政権は結局のところ財務省の意向に沿った人事をしてくると見ます。

そうなれば2013年からの金融緩和の流れが逆転する。つまり、円高、株安の流れが作られるわけです。

2023年の日本経済、株式市況はあまり期待できそうにないというのが個人的な予想です。

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