リーマンショックと同規模、アメリカで住宅関連株が大幅下落

コロナ禍において、アメリカの不動産市況は好調を維持していました。
人混みを避ける形で郊外の一戸建てブームが起きたのです。低金利も追い風となり、需給はひっ迫。
住宅価格は急上昇していたのです。
ところがこの流れ、2022年に入っていよいよ逆流を始めたのです。いったいどうしたのでしょうか。
2022年、住宅関連株急反落
2022年に入り、米国株式市場で住宅関連株の下落が目立っています。
住宅関連株の下落はここ半年で約3割にものぼります。NYダウの下落が約1割であることを考えれば住宅関連株がひときわ売られていることがわかります。
それもそのはず、住宅は急激に売れなくなってきています。
注文のキャンセル率も急上昇しており、4分の1がキャンセルされる始末です。
しかし、いったいなぜ住宅市況は急に悪化したのでしょうか。
住宅ローン金利の急騰
好調だった米住宅市場に水を差したのは、金利の上昇です。
市場金利の急騰に合わせて住宅ローン金利も急上昇しており、足元の金利は30年固定金利で5%程度になっています。
この1年で約2倍になってしまったのです。
住宅ローンは借りる金額が大きい上に返済期間も長い。少しの金利上昇でもトータルの返済金額は大きく差が出てきます。
だから誰しも慎重になるというものです。
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住宅ローンにおける金利の恐ろしさ
試しに3000万円を2.5%で30年借りた場合と5%で30年借りた場合を比較してみましょう(元利均等払)。
2.5%の場合、毎月の返済額は118,536円で総返済額は42,672,960円となります。
ところが5%になると毎月の返済額は161,046円に跳ね上がり、総返済額は57,976,560円となります。
3000万円借りても総返済額は金利が2.5%違うことによって1500万円以上の差が出てきてしまうのです。これは大きい。
そんなわけで住宅を買いたいと思う人が急激に減少しており、住宅関連株もそれに合わせて下落しているというわけです。
リーマンショック再び!?
住宅産業はすそ野が広く、景気への波及効果が大きい。住宅市場が冷え込めば、その周辺産業も冷え込んでしまいます。事実、ホームセンターや住宅資材関連の株式も大きく売られています。
唯一救いなのは、リーマンショック時に比べて金融機関、住宅関連会社の財務体質が強固になっている点です。
株価下落率はリーマンショック時とほぼ同等ですが、金融危機の引き金とはなりそうもないことは救いです。
日本の住宅産業の今後
翻って、日本の状況はどうでしょうか。
以下は日本の住宅着工件数の推移です。

(出所:国土交通省)
さすがにコロナ禍が始まった2020年(令和2年)は落ち込んだものの、2021年は持ち直してきました。
ただし、人口が減少している以上、長期的にみて住宅着工件数の今後は期待できません。野村総研は2040年の住宅着工件数を現状の半分程度の41万戸まで減少するとみています。
日本における住宅関連株の今後は厳しいといわざるを得ません。
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