円買い介入は制限有り、円売り介入は無制限。これからわかること

ドル

高度成長期の日本は、エコノミックアニマルなどと揶揄されたように、その経済成長は著しく、アメリカの自動車産業などを苦境に陥らせ、世界的な脅威をもたらしました。

今では想像もできないことです。

当時、アメリカにとって、成長しすぎた日本は目の上のたんこぶであったに違いない。

しかし、日本は軍事的にアメリカに依存する幼児国家であるがゆえに、アメリカの要求は結局飲まざるを得ません。

そして急激な円高は始まったのでした。






アメリカ救済と日本潰し


以下は1973年以降の円の為替レートの長期推移です。

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(出所:社会実情データ図録)

1985年のプラザ合意(※)以降、円が急激に高くなっていることがわかります。

実力以上に安い為替レートで世界中に工業製品を輸出しまくり、貿易黒字を稼いでいた日本は世界のやっかみ者だったはずです。

工業製品とともに輸出していたのは失業だといってよいでしょう。

なにしろ1980年代前半、アメリカの失業率は10%近くに達しました。一方で日本は3%以下で、ほぼ完全雇用であったといえます。

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(出所:世界経済のネタ帳)

これではアメリカの労働者に不満が貯まるのは無理からぬことです。政治家も動かざるを得ません。

※プラザ合意
1985年9月22日、過度なドル高是正を目的とし、アメリカの呼びかけをきっかけとして、G5(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本)で表明された為替レート安定化のための合意。その名はニューヨーク市のプラザホテルに由来する。具体的な内容として、米ドルに対して、各国の通貨を一律10~12%幅で切り上げ、そのために外国為替市場で協調介入を行うというもの。プラザ合意の狙いは、ドル安によってアメリカの輸出競争力を高め、貿易赤字を減らすことにあった。

急激な為替変動の害悪


ところで、為替レートが短期間に過度な変動をすれば経済に悪影響を与えます。急に円高になれば輸出企業の採算が一気に悪化して、赤字になり雇用不安が顕在化しかねない。

また、逆に急に円安になれば輸入物価が上昇して、物価が高騰しインフレが進展しかねない。

円高、円安ともに短期間に振れ過ぎれば対応が難しいため、経済的なダメージは避けられません。


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為替介入なるもの


短期的で急激な為替変動があった場合、政府が外国為替市場に介入して為替レートの調整を図ることがあります。いわゆる為替介入というものです。

円高が過度に進めば、円売り介入で円安方向へと持っていく、円安の場合は円買い介入で対応します。

この為替介入、日本の場合、その権限は財務省にあります。財務省がその要否を判断し、実際の売買は日本銀行が行います。

同じ為替介入でも違いが


ところでこの為替介入、円売り介入と円買い介入では取れる規模の制約という点で根本的な違いがあります。

円売り介入の場合、日本政府が円を発行すればよいのですから、理論上は無限にできます。

円は日本政府が発行すると決めればいくらでも供給できるということです。

一方で、円買い介入の場合はそうはいきません。

円を買うには外貨が必要です。しかし、日本政府は外貨を発行することはできません。よって円買い介入は外貨準備の範囲内でしか行うことができないという制約があります。

超円高時代


日本は2000年代後半から2010年代前半にかけて恐ろしいまでの超円高に襲われました。

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(出所:社会実情データ図録)

もはや国内に残れる製造業は一部の特殊な技術を持った企業に限られていたといえます。

工場の海外移転がどんどんと進み、国内産業は空洞化。失業率は上昇しました。この期間に日本経済は沈没のトドメを刺されたといっても過言ではないでしょう。

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超円高の二大戦犯


それにしてもなぜこんなことになってしまったのか。

原因は2つに集約されます。

上記で見た通り、円売り介入は無制限に可能です。過度の円高には為替介入が無限にできるのです。もちろん、各国との調整は必要ですが過度な円高なのですから理解は得やすいでしょう。

しかし、財務省は超円高を放置したといってよい。財務省の責任は重大です。

また、その間日本銀行の金融緩和は小規模で、世界各国に比べて相対的に金融引締となってしまいました。

お金の価値は相対的なものですから、当然に円が少なくなり、買われたわけです。日本銀行の責任もまた重大です。

日本は財政破綻の可能性なし


最近マスメディアなどを見ていると、再び財務省による財政破綻煽りが復活してきたようです。

国の借金1人あたり1000万円超えなどという報道がでてきたことは象徴的でしょう。

しかし、為替介入の視点からしても日本が財政破綻などしないことは明らかだといえます。

なにしろ、日本政府は円を無制限に発行できるのですから。もちろん、過度なインフレにならないよう調整が必要ですが、財政破綻の可能性は皆無です。

だって、日本政府は日本円でしか国債を発行していませんから。財務省によるステルス財政破綻論まき散らしには注意を要します。

その目的はプライマリーバランス黒字化であり、その手段は消費増税なのです。

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