働き方改革から取り残された官僚になどなりたくないという気持ち

国家公務員といったらエリートで安定した職業の代表格であり、安定志向の強い日本人にとっては人気が高いなどというのは一昔前の話です。
ここ10年でエリート国家公務員の志望者が急減しています。
なんと4割近くも減少してしまいました。この10年間で円安、株高が進み景気は多少良くなったとはいえ4割減は景気の影響にしては大きすぎる。
いったいなぜ若者は国家公務員への道にそっぽを向け始めたのでしょうか。
日本の公務員は多い?少ない?
以下は平成30年の公務員の人数を種別ごとに表しています。

(出所:人事院)
その数は約333万人。これを多いと見るか少ないと見るかは世界各国と相対的に比較するほかないでしょう。
以下は人口千人あたりの公務員数の国際比較です。

(出所:社会実情データ図録)
国際的に見て、日本は人口規模に比べて公務員の数は少ないといえそうです。
公務員数の増減
また重要なのは公務員の数の趨勢です。増加傾向なのか減少傾向なのかで方向感がわかります。

(出所:人事院)
中長期的な傾向として減少傾向にあるといえそうです。
デフレで民間企業が苦しむ中、公務員は格好の不満のはけ口や攻撃対象となり、行政改革などという掛け声の下、政治家に徹底的に政治利用されたと考えられます。
日本における特徴
中でも日本の公務員の姿で特徴的なのは中央政府における公務員の数が非常に少ないことです。

(出所:社会実情データ図録)
先進諸国の中でも最低レベルとなっています。
日本だけが公務員のこなす仕事が少ないというわけがない。少ない人数で同じ仕事量をこなさねばならないとしたら・・・。
その結果、何が起きるのかはだいたい想像がつきます。
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ブラック企業顔負け
内閣人事局が国家公務員の労働時間(正確には在庁時間)を調べたといいます。
それによれば20歳代の3割が過労死ラインといわれる月80時間を超えていたというのです。月100時間超に絞っても2割弱です。
月100時間といえば、毎日5時間残業していることになります。夜の10時は当たり前ってことです。
実際問題、夜11時に退庁することなど当たり前のように行われており、ブラック企業顔負けの長期間労働が常態化しています。
これでは若者から敬遠されるのも当たり前。
働けど働けど世間からは税金泥棒呼ばわりされ、嫌みを言われるばかりで評価されることもない。わざわざ火中の栗を拾おうという人は少ないでしょう。
そして国家公務員は敬遠される
経団連の調査によれば会員企業の平均残業時間は184時間、一方で国家公務員は358時間と約2倍となっています。
公務員には36協定の適用はないようですが、民間企業の36協定を意識しているに違いない。ギリギリのラインとなっていますが、実際にはサービス残業が横行している可能性があります。
働き方改革の仕事に従事していた官僚が深夜まで働いていたなどというのはブラックユーモアでもなんでもない事実でしょう。
これでは若者から人気がなくなるのも頷けます。
そして、あえて公務員を目指さなくても、この10年間で雇用環境は好転しています。
以下は有効求人倍率の推移です。

(出所:ニッポンの数字)
最近は、コロナ禍で悪化したとはいえ、最悪期は脱しつつあるようです。今後、優秀な学生はますます公務員を志望しなくなるのではないでしょうか。
【参考】

(出所:社会実情データ図録)
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