株式投資における心理的罠。そしてほとんどの人は罠にはまる

花火

株式投資は上がるか下がるかの二択であるからにして、勝負は五分五分の世界だと思えばとんでもないのでありんす。

評価益と評価損では心理状態がまったく異なるものになるし、嫌なことは先延ばしにしがちな人間の性が投資行動に大きな影響を与えます。

そしてそれは株式投資において致命傷となる可能性が高い。

とはいえ、人間はロボットのように無機質に投資判断を下せないこともまた事実。

人間の感情という限界の中で、いやむしろそれを利用して株式投資に生かすにはどうしたらよいのでせうか。






株式投資にも同調圧力


コロナ禍におけるコロナバブルは若年投資家の心をつかんだように見えます。

若い世代が投資の世界に突如として参入してきたのです。SNSや友達、同僚などの影響で株式投資を始めた人も多いはず。

実際に、株式や投資信託を保有する人はここ数年で増えています。

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(出所:日本証券業協会)

興味ある金融商品としても株式や投資信託の比率が伸びていることがわかります。

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(出所:日本証券業協会)

しかし、よく勉強しないでなんとなく始めた人もまた多いのではないでしょうか。

周囲の人がやっているので始めた、あるいは自分だけ取り残されるのは嫌だという心理です。

行動経済学においても、多数の人の行動を真似したり同調すれば心理的安心が保ちやすいことが知られています。

みんながマスクをしていれば、その効果に疑問を感じたとしても自分もマスクをするというのと似た心理状態だといえるでしょう。いわゆる同調圧力です。

周回遅れの投資


しかしながら、この心理的安定は株式投資においては大いなる危険をはらんでいます。

株式投資の世界はなんといっても早い者勝ち。皆がフィーバーしているときに買えば、結局のところ高値掴みとなり、株の塩漬けを作りまくることになります。

テーマ型投信を買えば、すでにブームは去りつつあり結局のところ高値掴みで儲からなかったなどというのは良くある話です。

株式投資にもまったくのところ当てはまるといえます。

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利確はよいよい、損切はつらい


実際に株式投資をしている人ならよくわかることだと思われるのは、損切りは難しいという心理状態です。

ダチョウが地面に頭を突っ込むのと同じで現実逃避にも似た心理状態となってしまうのです。これは行動経済学においても有名な理論です。

心理学的に見て、利益から得られる快楽を1としたときに損失の苦痛は2から3にもなるといわれています。

これが何を意味するのかといえば、利益確定はなんなくできるのに、損切りはハードルが高く、塩漬けを量産しがちだということです。

株は買う時よりも売り時が難しいといわれるゆえんです。

損切りなしの割り切り投資


個人差はあるとはいえ、この心理状態から解放されるのは困難であると考えるのが妥当ではないでしょうか。

となれば全く違ったアプローチで株式投資に取り組むというのも一考ではないかと思います。

具体的には、株式に投資した資金は捨てたものと割り切ることです。

ゼロになろうがお構いなしと考える。その代わり、少々上がったからといって売却をしてはなりません。

株はどこまで上がるかわからないというのが株式投資の醍醐味でもあります。

100万円投資すれば、損失は100万円を超えませんが、利益は100万円などという限度はありません。うまくいけば1000万円になるかもしれません。株式の買いは損失限定、利益無限大の取引なのです。

早めの損切りができないならば、損切りはしないと割り切って、利益確定も2倍超にならなければしなければよいということです。

これならば勝負の構造上(損失限定、利益無限大)、五分五分以上の勝負となるはずです。

70歳代のトラウマ


意外なことに証券投資の必要性を感じているのは若い世代だけではありません。

ほぼ全世代の傾向だといえます。

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(出所:日本証券業協会)

興味深いのは70歳代が唯一、必要性を感じている人の割合が下がっていることです。推測ですが、70歳代はバブル崩壊の痛手をもっとも受けた世代だと思われます。

バブル崩壊時、70歳代の人は40歳代でした。

子育て資金やマイホーム資金を株につぎ込んで痛い目にあった世代であり、あつものにこりてなますをふいているものと考えられます。

やはり人間は他人の経験ではなく、自らの経験に学ぶのであろうと確信するのです。

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