政府への当てつけ。減資で税負担を軽減する大企業が軒並み登場

まともな救済策をとってくれなかった政府に対する怨念なのか、旅行会社や宿泊業、外食産業などで資本金を一気に1億円以下とする減資を行う会社が増えています。
最近では旅行大手のエイチ・アイ・エスが資本金247億円あまりから1億円に減資したことが話題となっています。
業績の悪化が直接的要因ですが、そこには目的があります。どんな目的で企業は減資をしているのでしょうか。
なぜか減資をする企業
資本金を1億円以下にする企業が2022年だけで100社近くにのぼっています。
資本金が1億円を超える企業は2006年には約3万社あったのに2020年には約2万社にまで減ってしまいました。
いったいなぜ資本金を減らすのでしょうか。何かわけがあるはずです。
税負担の軽減化が目的
資本金1億円以下の企業は税制上、中小企業扱いとなり税の優遇を受けやすくなるのです。
例えば外形標準課税です。
大企業は赤字でも資本金の規模などに応じ、一定の税金を納めなければなりません。しかし、中小企業ならば外形標準課税はかからず、黒字のときだけ税金を納めればよいのです。
赤字が続いている大企業は減資して中小企業化することで税負担を軽減することができるというわけなのです。
成長するのが前提ならばよいのだが・・・
この外形標準課税は2004年に始まりました。
都道府県の大きな税収の一つである法人事業税は企業の利益に対してかけられていました。
ただでさえ景気の変動による浮き沈みにより税収が不安定であった地方は、小泉政権による構造改革でさらに財政難に陥ることになりました。
そこで、企業が赤字でも税収を得られる外形標準課税が導入されたというわけです。
もちろん、外形標準課税は企業にとっても悪いことばかりではありません。
黒字が大きい場合は、外形標準課税を取り入れたほうがトータルの税金は少なくなります。よって、成長できる企業にとっては特に痛くも痒くもないというのが理論の上では成り立ちます。
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デフレで苦しむ企業の防衛策
ところが世の中、理論どおりには進まない。
その後のリーマンショックの影響も大きい。赤字を抱える大企業にとっては外形標準課税は足枷以外の何ものでもありません。赤字なのに税金取られるのですから・・・。
日本は長引くデフレで一部企業を除き、成長はおぼつかない時代が続いたのです。
そんなこんなでこの15年で企業の中小企業化が進んだというわけです。
政府への恨みが根底に
とはいえ世の中は本音と建前。つまびらかに本音が披歴されることは少ないのが世の常だろうと思います。
しかしながら、今回のエイチ・アイ・エスの減資では税負担の軽減が目的であることが本音で語られました。これは政府に対する恨みが背景にあるとしか思えないのです。
コロナ騒動以降、科学的根拠もなく飲食店を悪玉扱いしたのは典型的です。それでいてまともな補償もなかったがゆえに多くの飲食店は廃業に追い込まれました。
旅行業、宿泊業もまたしかりです。
もはや我慢も限界に達したということではないでしょうか。
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