円安になっても株が上がらない。これは良いことなのか悪いことなのか?

今年(2022年)8月以降、急速に円安が進んだのはご存じのとおりです。
一般的に日本株にとっては円高よりも円安の方が望ましいとされ、事実、アベノミクスによる大規模金融緩和にともなう円安はその後の株価上昇のきっかけとなりました。
しかし、今回は円安になっても株が上がらない。
こうなると財政破綻論者などが悪い円安で日本売りとなり、ハイパーインフレになるなどと、わけのわからない論理を展開しがちなのです。
しかしながら、今回の円安は日本だけが要因というわけでもなく、むしろ日本の輸出産業の競争力を回復させる絶好のチャンスといえそうです。
日本株と円相場の関係
日本株が円相場と大きく相関していることは株式市場の動きと為替相場の動きを比べて見ればよくわかります。


(出所:社会実情データ図録)
2011年、2012年あたりがまさに典型的な動きだといえます。
なにしろ1ドル70円台にまで突き進んだのですから日本の製造業にとっては悪夢だったのです。もはや日本での生産はままならないということで、海外への工場移転が一気に進んだのでした。
これは悪夢の民主党政権と無能な白川日銀が奏でた不協和音の二重奏だと言い切ることができます。
単純な円安の構図
ところでなぜこんなにも円安が進んだのか。
これは実に単純な構図であり、高いインフレに苦しむアメリカは急速に利上げを進めているからです。その一方で、今だデフレギャップに苦しむ日本は金利を上げられる環境にありません。
日米の金利差が開き、金利の高いドルが買われ、円が売られるという図式です。
これは日本とアメリカの政策金利の動きを見れば歴然です。

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ドル高メリットを打ち消すインフレ圧力
円安になれば日本の輸出産業の採算が良くなって株価は上がるはずなのにそうならないのはなぜでしょうか。
どうもアメリカ経済の失速にその原因が求められそうです。
ドル高になればアメリカ国民は安い値段で輸入ができるので、消費者としてはその恩恵を受けられそうなものです。
しかし、現状はそうなっていない。なぜかというとドル高以上にインフレの影響が大きく、消費大国アメリカにおいてもモノが売れなくなってきているのです。
そしてアメリカは、日本の輸出の2割近くを占めるお得意様なのです。

(出所:経済産業省)
そのお得意様の経済に陰りが見えれば、日本株にも影響が出るのは当然のことです。
アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひくという関係なのです。
米国株のあとは日本株
アメリカが本格的な景気後退に陥れば、米国株式も下落は免れないでしょう。
米国株を売った資金はいったいどこに回るのか。
今、にわかに注目されているのが日本株です。円安により海外投資家は日本株を割安に購入することができます。
将来、円高になれば株式の利益と為替差益のダブルメリットを受けられる可能性もあります。
円安が続いているうちは、日本人投資家にとっても日本株を仕込むチャンスであると考えられます。
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