令和版ニューディール政策が必要。自然災害と人災は紙一重

昔は聞くことのなかった言葉の一つが「線状降水帯」というものです。
線状降水帯とは連続して次々と発生する積乱雲が列のように同じ場所を通過することで線上に伸びた地域に大雨を連続的に降らせるものです。
昔から現象としてはあったものですが、一般的に使われるようになったのは、2014年8月の広島県での集中豪雨がきっかけといわれています。
最近になり、気象の変化が激しくなっているのは事実です。当然、政府もそのことを知っているのですから、対策を先手先手で打っていかなければ人命にかかわります。
しかし、自然災害の分野においてもプライマリーバランス黒字化目標が足枷となり、災害の被害を未然に防止するための対策が疎かになっています。
要するに災害も一見、天災に見えて実は人災ではないかと考えられるのです。
日本の災害リスクは右肩上がり
1976年から2017年までの豪雨の回数を見ると、年によって大きく異なるとはいえ、右肩上がりの傾向を示しており、集中豪雨の頻度は確実に上がっているといえます。
ゲリラ豪雨という言葉が一般的となったのも線状降水帯と同じだといえるでしょう。

(出所:中小企業庁)
豪雨に限らず、自然災害の発生件数もバラつきこそあれ、概ね右肩上がりであり、もともと災害大国であった日本の自然災害リスクは近年さらに増しているといえます。

(出所:中小企業庁)
公共投資の崖
自然災害の被害を少なくするためには、インフラ設備の性能を保つための維持管理、そして新たな災害対策が欠かせません。
しかしながら日本では1997年の橋本政権以降、公共投資は削りに削られました。
マスコミを中心に箱ものは悪というイメージを植え付け、国土保全はなおざりにされ、確実に日本の災害安全保障は弱体化したといえます。
以下からも1997年(平成7年)から政府の建設投資がものすごい勢いで減らされたことがわかります。

(出所:国土交通省)
民主党政権の断末魔、自公政権も力なし
公共投資の減少とともにに民間投資も勢いを失いました。両者はクルマの両輪なのです。
公共投資が減れば景気が悪くなる。そして民間も活力を失うのですから当然です。
公共投資は確実に減らされ、悪夢の民主党政権で断末魔を迎えたといってよい。「事業仕分け」などというふざけた政策で、民間部門が苦しんでいるのに、政府までもが緊縮財政を進めたのですから。
火に油を注ぐとはまさにこのことをいいます。その後、安倍政権はなんとか現状維持をしましたが、V字回復にまで至らなかったのは財務省やマスコミが足を引っ張ったからにほかなりません。

(出所:国土交通省)
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見捨てられた者たち
建設需要が減少すれば、建設業者の業績が悪化するのは必然の結果です。
多くの会社が倒産し、失業者が増え建設業に従事する人の数はみるみる減っていきました。

(出所:国土交通省)
需要が少ないのですから新規の採用も抑えられます。その結果、建設業に従事する労働者の年齢構成は歪なものとなってしまいました。
中高齢者の比率が極端に高くなって、若者の比率が少ない。


(出所:国土交通省)
10年後には、災害があってもインフラを元どおりに直すことができなくなっている可能性があります。
技術は伝統であり、受け継がれていかねば無くなってしまいます。現に、アメリカはもはや自国で吊り橋を作る能力を無くしました。
日本も同じ道を辿っており、国土が荒廃するのが目に見えているのです。
なお、失業は建設業に限ったことではありません。政府が財政を絞ったせいで、あらゆる業種で失業者が増え、また自殺者も一気に年3万人台へと増加したのです。

(出所:ニッポンの数字)
最後に
伊勢神宮は1300年もの間、20年に一度建て替えられています。
なぜ20年なのか。
そのまま放置していたら技術が継承されないからです。
高度の技術を次の世代につなげるための日本人の知恵なのです。これこそが伝統というものでしょう。
現代の日本人は1000年以上昔の日本人よりも愚かになっているといえるのではないでしょうか。
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