楽天、会社の切り売りを始める。ミイラ取りがミイラに・・・

M&Aで会社を買収し、会社名の頭に楽天を付けて看板を変えて成長してきた楽天。
しかし、モバイル事業の赤字に耐えかねて今度は自らが会社の切り売りを始めたのですから皮肉なもんです。
楽天は資金繰りに窮していると考えられ、当座の資金を調達するとともに、会社の信用度を回復させるのに躍起になっています。
楽天、助けを乞う
2022年7月、楽天は国内金融機関に楽天証券への出資を呼び掛けたといいます。その先は、三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、そして大和証券グループです。
その話に飛び乗ったのはみずほフィナンシャルグループでした。
みずほFGは傘下にみずほ証券を抱えているわけですが、対面型の証券会社であり、ネット系が弱いという弱点をもっていました。そして対面型証券の顧客層は高齢者が多く先細りは目に見えています。
その点、楽天証券の顧客層は若い。口座を持つ人の多くが30代以下であり、また口座数は全年齢層で800万口座を超えています。
これは証券業界のガリバー、野村証券をもしのぐものです。
楽天を揺るがす放蕩息子
一方で楽天が欲しいのはなんといっても現金。
楽天グループは携帯事業の大赤字で足を引っ張られ、2022年1~6月期は1766億円もの赤字に陥っています。なお、携帯事業だけで見れば約2600億円の赤字です。
他の事業で稼いでも携帯事業がそれ以上に食いつぶす。いわば放蕩息子状態となっています。
楽天はキャッシュがどうしても欲しい。
そこで楽天証券に白羽の矢が立ったというわけです。
調達した資金はどこへ?
その根拠として、みずほFGによる出資の方法が挙げられます。
楽天証券が本当に資金調達をしたいのであれば、第三者割当増資で新株を発行し、みずほFGに買ってもらえばよいはず。
しかし、実際には楽天グループが所有する楽天証券の株をみずほFG(正確にはみずほ証券)が買い取るというスキームです。楽天証券には資金調達ニーズはなく、楽天グループにニーズがあることがわかります。
なお、みずほ証券が買い取る楽天証券の株数は2割となる予定であり、楽天証券はみずほFGの持ち分法適用会社になる見込みです。
株式取得額は800億円程度となりそうであり、この800億円は楽天グループへ還流するという見方が大勢です。赤字の補填、あるいはさらなる設備投資に充てられるといったところでしょう。
なにしろ楽天は人口カバー率こそ上がったものの基地局が少ないため、実際にはつながらない、あるいは極端にデータ通信が遅いという弱点があります。
この弱点を克服しなければ顧客は逃げてしまいます。
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誤算続きのビジネス環境
楽天の誤算は携帯電話の料金がここまで安くなるとは予想していなかったことでしょう。
菅前総理の圧力で携帯電話料金は国際的に見ても安い水準にまで下がりました。以下は、低価格帯の新料金プランを使用している契約数の推移です。

(出所:総務省)
わずか10か月で2倍以上にまで増加しました。
楽天モバイルの料金プランは当初、月額2980円のワンプランが予定されていましたが、変更を余儀なくされ、それは1Gまでだったら無料という無謀をも含むものだったのはご存じのとおりです。
最後に
今の楽天グループを見ているとかつてのライブドアを思い出します。
ありとあらゆる事業を買い漁り、粉飾決算で上場廃止。そして会社はバラバラになり切り売りされていきました。
楽天グループはライブドアのようにはならないと思いますが、携帯事業の行方によっては拡大路線から縮小均衡路線へと舵を切る必要が出てくるかもしれません。
投資家の目も厳しい。株価はこの10年で最安値近辺に張り付いています。

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