金利を上げてもインフレが収まらない。そこには構造的変化が隠されていた

石油

世界的に物価の上昇が続いているのはご存じのとおりです。

このインフレを必死に押さえ込もうとしているのがFRB。2022年3月に政策金利(※)を0.25%上げ、その後は3回連続で0.75%ずつ上げています。

にもかかわらずインフレが収まりません。

これには金利だけでは物価をコントロールできないという構造的な要因があります。まさにデフレ下の日本とまったく逆の現象が世界で今起こっています。

(※)政策金利
アメリカの民間銀行がFRBに預ける準備預金の金利。FF金利(フェデラル・ファンドレート)という。FF金利を目標金利に誘導し金融政策を行う。







物価上昇と金利上昇のイタチごっこ


インフレ抑制のため、世界各国の中央銀行が金利を上げています(日本以外)。

ちなみに日本は、バブル崩壊後の財政政策、金融政策を誤ったため、デフレギャップに苦しみ、今なお金利を上げられる状態にありません。

日本以外の各国の中央銀行は金利を上げているわけですが、インフレ圧力が強く、物価上昇がなかなか収まりません。

根本的にどうやらこれは金融政策だけでコントロールできるインフレではなさそうなのです。

(参考)
20221015inhure.png
(出所:世界経済のネタ帳)

インフレの根本原因


今回のインフレが金融政策だけでコントロールできない構造的要因は何なのでしょうか。

それはずばり資源や商品の供給能力が低下しているためです。

コロナ禍真っ盛りの2020年は、ロックダウンなどにより世界的にモノの需要は低下しました。それとともに企業は供給能力を落としたわけです。

そして今、世界は既に脱コロナ化しています。

マスクの着用率を見ればそれは明らかです。欧米では公共の場でさえ、マスクをしている人はもはや珍しい。

日本人は心配症なのか、同調主義の行き過ぎか、理由ははっきりしませんがマスクの着用率が世界で突出しています。

にもかかわらず、2022年夏には爆発的な流行をしたことを考えるとマスクには効果がないということは薄々気が付いている人は多いのではないでしょうか。ワクチンもまたしかりです。

世界は脱コロナ化で経済活動が再開し、需要は急回復したわけですが、供給能力がそれに追い付かない。

そしてインフレが加速しているというわけです。

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金融政策だけでは解決不可能


供給能力が低下しているのに、金利を上げれば企業は設備投資意欲をなくします。

したがって供給能力が回復しない。

よって、今回のインフレは金利を上げるという金融政策だけでは解決できないという結論に達します。

これは過去25年にわたる日本とまったく逆さの構図であるといえます。

日本はバブル期に供給能力を増やしすぎ、過剰なデフレギャップを生み出しました。金利を下げたところで供給能力が低下するわけもない。

よって、過剰な供給能力が埋まるまで財政支出を拡大しつづける必要がありましたが、政府は対応を怠りました。

政府の怠慢が生み出したものといえば「就職氷河期」「非正規雇用」「リストラ」「失業」「貧困」「自殺」といったものです。

インフレ克服は前途多難


今回のインフレは好景気によってもたらされるディマンドプル・インフレではなく、コストプッシュ・インフレです。

ではどうすれば解決できるのか。

政府の補助金などで企業の設備投資を促し、供給能力を上げるといった政策が必要になります。

また、資源価格をさらに下げるために石油などの増産が必要となるでしょう。これにより企業のコストダウンが可能になります。

話がややこしいのは環境問題です。脱炭素の推進など、化石エネルギーに対する風当たりが厳しい。よって増産が難しいのが現実です。

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金融政策では解決しない、しかしコストダウンも難しいという現下の状況を考えると、今回のインフレからの脱却には相当の時間がかかるというのが個人的な見解です。



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