円安メリットが消えた!自動車株が上がらない・・・

円安になれば日本の輸出企業の株価、とりわけ自動車株の株価は上昇するというのが過去の定説でした。
しかし、今回の円安ではその定説が覆っています。円安になっても自動車株が上がらない。
これだけ円安に振れているのになぜ?いったい何が起きているのでしょうか。
過去のパターンが当てはまらない
円安は日本株にとって追い風と言われてきました。とりわけ輸出に支えられている自動車産業はその傾向が顕著だったといえます。
円安になれば日経平均以上に上昇するのが当たり前でした。
しかし、今回の円安ばかりはそうはいかない。円安にもかかわらず、下落しており、その下落率は日経平均をも軒並み上回ります。
なぜ今回ばかりは例外となっているのでしょうか。
円安メリットをつぶすもの
やはりというべきか。世界的な物価上昇とそれにともなう金利上昇が円安メリットを打ち消しているという構図が浮かび上がってきます。
金利が上げれば自動車ローンの金利も上がる。金利負担が大きくなりますから、当然買い控えの動きが出てきます。
それ以前に、物価の上昇が家計を圧迫し、自動車どころではないという世帯も多くなるでしょう。
円安メリットを打ち消す、売上自体の減少が起きています。
半導体不足でクルマが作れない期間が続き、半導体不足が解消されつつあると思ったら、予想以上のインフレと金利上昇で、クルマを作っても売れない事態に陥ってしまいました。
自動車業界にとっては踏んだり蹴ったりといえます。
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外需から内需へ、大型株から小型株へ
巧みな運用で知られる投信運用会社、レオス・キャピタルワークスは2022年8月末に組み入れ比率でトップだったトヨタの株を売り払い、9月末にはトップ10圏外にまで比率を引き下げたといいます。
その代わりに組み入れたのは内需関連株や中小型株だということです。
ここしばらくは内需主導の企業の株が買われそうな気配です。
以下は、自動車・輸送機を中心に投資するETF(1622)と食品関連に投資するFTF(1617)のここ半年の値動きです。

確かに、内需関連である食品関連の動きのほうが堅調であるといえます。
さらなる悲劇の可能性
このインフレそして金利上昇圧力は当分おさまりそうにありません。
となれば自動車株は当分さえない展開が続くと覚悟しておかねばならないでしょう。そしてさらなる皮肉が襲うとしたら、自動車需要が回復したときにその主役がEVになっている可能性があることです。
日本の自動車メーカーも当然EVに力を入れているわけですが、新たな参入者そして競争者が相次ぐことから、日本の自動車メーカーの存在感は相対的に小さくなると思われます。
日本の産業は自動車の一本足打法と揶揄されており、その一本足が折られたら、日本が世界に誇れる産業はいよいよ無くなるという悲しい事態に陥ります。
そうならぬことを祈る。
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