その医療保険、ホントに必要?高齢者の医療保険ブームの謎

高齢者の医療保険加入が増加しているという。
日本人は心配症でかつ人がいいだけに保険が大好きであり、またGNP(義理・人情・プレゼント)に弱いことはよく知られていることです。
しかし、心配症も行き過ぎると非合理な行動に走るのだと考えさせられます。
高齢者が医療保険に加入するなんて傍から見れば非合理極まりない。しかし、その非合理が増えているっていうのですから不思議なものなのです。
高齢者、医療保険に群がる
2021年度の調査では65歳から89歳までの世帯主が医療保険に加入している比率はなんと86%!
高齢世帯10世帯のうち、8世帯は医療保険に加入している?!
しかも、この3年でその比率は12%も上昇しました。とりわけ上昇しているのは80歳代の高齢者です。
その理由は極めて単純です。日本人がこの3年で心配症になったのではありません。
高齢でも加入できる医療保険が増えてきていることがその理由です。これまでは80歳を超えると加入できない商品が多かったのですが、ここ最近は80歳超でも契約できるタイプの商品が増えているのです。
それにしても、高齢者が医療保険に加入すれば保険料は高くなるに決まっています。それでもなお加入する必要などあるのでしょうか。
所得は少なくてもハッピーライフ?
概ねベースですが、80歳代の人が医療保険に加入すれば月に1万円前後の保険料を支払う必要があります。
一般的に高齢になれば所得が減りますから月1万円はかなりの負担となるはずです。
以下は高齢者世帯の所得分布です。

(出所:内閣府)
150~200万円未満が最も多く、所得が少ないことがわかります。
しかし、高齢になれば住宅ローンの返済が終わっていることが多いし、子どもも独立していることが多いことから支出も減ります。
そのため、生活に不安を抱えている人は意外なほど少ないといえます。

(出所:内閣府)
逆にいえば暮らし向きに心配がない人が医療保険に入る必要があるのでしょうか。素朴な疑問が湧いてきます。
人それぞれだとは思うが・・・
個々人で考え方が異なるのは当然のこと。
小生などは医療保険に入るくらいならばそのお金を貯蓄に回しておくほうが合理的だと考えます。
なにしろ日本は公的な医療保険が充実しています。
一般的な世帯であれば、75歳以上の高齢者は医療費の自己負担が1割です。入院して一時的に費用がかさんでも、高額療養費制度により、自己負担額には上限が設けられており、月6万円弱が上限です。
ある程度の貯蓄があれば医療保険など入る必要がないといえるのではないでしょうか。
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入院日数は右肩下がり
入院日数の短期化が進んでいます。
以下は平均入院日数の国際比較です。

(出所:社会実情データ図録)
医療の発達などにより日本の入院日数は短期化が進んでいます。(それでも国際的に見れば長いが・・・)
これが良いことなのか悪いことなのかは現状では判断しかねます。単に社会保障負担を削りたいという政府の意向に沿ったものであればいただけない短期化ということになります。
ともかく、この流れは続くと見られ、医療保険の出番も少なくなるといえるのではないでしょうか。
最後に
保険というものはいざという時のもの。
そう考えると医療保険が必要なのは暮らし向きが心配だという3割弱の人こそ加入する価値があるといえます。
しかし、推測ですが実態はまったく逆になっているものと思います。医療保険が必要な人は加入できず、不必要な人は加入できるという矛盾が起きているのでしょう。
保険一つとっても人間の経済行動が合理的であるとは思えないのであります。
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