今だ従来のビジネスモデルから脱却できず。証券会社は水商売

証券会社は株式市場の動向により収益が大きく左右されます。
いわゆる水商売の類であり、安定的な収益を見込むことは難しい。だから相場が活況な時には稼げるだけ稼いで、停滞期にはなんとかしのぐ。
この繰り返しが行われているわけです。
このようなビジネスモデルから脱出しようと証券会社は新たな収益モデルの構築に励んでいますが、遅々として進まないのが実態。
2022年上半期は停滞期であり、証券会社の決算は厳しくなりました。
証券会社=水商売の構図
ところで「水商売」という言葉。何気なく使っていますが、なぜ水なのでしょう?
水商売の語源はどうやらはっきりとしていませんが、以下のような説があります。
・流水のごとく収入が不確定であるからという説(←でもなぜ水?)
・芸者などの職業を泥水稼業や泥水商売と呼んでいたからという説(←失礼)
・江戸時代に街路などで茶や菓子を提供し、人々の休憩所となっていた水茶屋からとする説(←確かに人通りは不確定)
どれもそれなりの根拠がありますが、いまいちしっくりこない感じです。
それはともかく、2022年度上半期の証券会社の決算はどうだったのでしょうか。
厳しい決算
大手証券会社5社(野村、大和、三菱UFJ、みずほ、SMBC日興)の2022年度上半期の決算が出そろいました。
結論から言えば総じて苦しい。3社は前年同期比で減益、1社は赤字に転落しました。
三菱UFJは前期が悪すぎたため、今期は良くなったように見えますが前期が特殊要因で悪かったことを除いて考えると減益となります。
赤字転落となったのはSMBC日興。やはり相場操縦事件の影響が大きかったようです。
SMBC日興は社会的な信用を失ったことから、個人部門、法人部門がそろって赤字となっています。
逆風が続く金融市場
2022年上半期における証券会社の決算悪化は何が要因なのでしょうか。
1つめの理由として、世界的な景気後退への懸念があげられます。インフレにともなう金利上昇により企業は設備投資に慎重です。
資金ニーズが減少しますから株式発行を控える動きが広がりました。
証券会社は株式引受で利益を出す環境に恵まれなかったといえます。
景気後退懸念から当然株価もさえない展開が続きますから個人、法人問わず、株式取引を含めて金融取引には慎重にならざるを得ません。
証券会社は販売チャンスに恵まれなかったといえます。
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仕組債に急ブレーキ
2つめの理由としては、仕組債の販売に急ブレーキがかかったことです。
複雑な仕組みで投資家の目を煙に巻き、高い手数料を密かにむさぼる。そんな仕組債に対し、当局の目が急激に厳しくなっています。
そして、仕組債の販売を停止する金融機関が相次ぎました。
証券会社にとっておいしい(投資家にとってはおいしくない)商品が売れなくなれば決算が悪化するのは必然の流れといえるでしょう。
顧客本位が叫ばれている中で仕組債を販売するなど、言行不一致も甚だしい。仕組債の販売には規制の強化が必要だと思います。
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起死回生のビジネスモデル
証券会社は20年以上前からフローからストック型のビジネスモデルへの転換を目指していますが、今だその実現は見えてきません。
最近の流れとしてはファンドラップがストック型ビジネスモデルの花形商品となっています。
取引の都度、手数料を取る方式から、残高に応じた手数料をもらう方式のほうが顧客との利益相反が生じにくいのは確かでしょう。
しかし、このビジネスモデルも緒についたばかり。日本での投資一任型のサービスの残高は14兆円程度です。
これはアメリカの100分の1程度であり、伸びしろが大きいと考えればよいのか、文化が違うと考えればよいかははっきりしません。
個人的には日本でも伸びしろは十分にあると思います。とりわけ若い世代には受け入れられやすいのではないでしょうか。
その根拠として、外資系金融機関が日本市場でストック型のビジネスモデルを拡大しようとしていることがあげられます。
業界再編再び
証券会社はバブル崩壊後、これでもかというほどの合従連衡を繰り返してきました。
(関連記事)証券会社の合従連衡、その歴史と変遷について
そしてようやく落ち着きを取り戻しつつあるかに見えたのです。しかし、それはつかの間の出来事だったようです。
インターネット取引の定着、各種手数料の値下げ、当局の厳しい監視などでとりわけ中堅、中小の証券会社は厳しい環境が続きそうです。
再び合従連衡の時代が来ると思われます。
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