業績予想は強気だが、そこには見過ごせない落とし穴が

世界的な政情不安、そして金利の上昇にもかかわらず、日本企業の業績は絶好調です。
2022年4月~9月期の主要企業における決算では4社に1社は最高益を更新したというのですから。
(一庶民にはそんな実感はありませんが・・・)
そして、企業業績の予想はさらに楽観的です。
しかし、その持続性には疑問府がつくというのが実際のところなのです。
行き過ぎた円安の是正
世界が不安定に揺れ動く中、日本企業の業績は相対的に好調だといえます。
なにしろ欧米企業は利上げが負担となり企業業績の下振れが相次いでいるのに、日本企業は業績の上方修正銘柄が多くみられます。
この原動力はなんといっても円安。
しかし、円安の流れが急に変わりました。企業業績を支えてきた要因の一つが消えてなくなる可能性があります。

ここ1か月弱で一気に為替レートは10円以上円高になりました。
いや、行き過ぎた円安が是正されたといったほうがよいのでしょう。
外国為替市場でのFX(通称ミセスワタナベ)の存在感が高まっており、さらなる円安に賭けていた人が一気にロスカットされて、円が買い戻され円高が加速したという面もあると思います。
もともとファンドメンタルズから考えれば140円を超える円安は行き過ぎというのが個人的見解です。
(関連記事:ミセスワタナベ、ついに銀行と肩を並べる。FX取引急増中で大丈夫?)
楽観の中に悲観が見える
企業の決算を見ると奇妙な光景が見えてきます。
2022年上期の売上は約16%増なのに、営業利益は約2%減。それが2022年下期予想では売上が約13%増、営業利益が約10%増と予想されています。
下期は売上は伸びないのに利益は増えるという強気の予想をしているわけです。これはいったいどういうことなのでしょうか。
野村証券の分析によれば、多くの企業が下期はサプライチェーンが回復するとともに資源価格が下落することで企業のコスト負担が下がると考えているようです。
また、製品の値上げがスムーズに進むと見込んでいるとも分析しています。
しかし、本当にそうなのでしょうか。あまりに楽観的だと心配になってきます。
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資源価格と株価の相関
今までの経験則では資源価格と株価の相関性は高いといえます。景気が良いときは資源価格が高騰するということだろうと思います。
日本企業の予測は、資源価格が安い=景気が悪いという構図を無視したものとなっています。
(参考)
●原油先物

●NYダウ

業績予想の矛盾
要するに日本企業の業績予想は矛盾をはらんだものとなっています。
それゆえ強気の業績予想は実現しない可能性が高い。
また、海外の人件費は高騰しており、労働コストの上昇が利益を圧迫してきています。
実際問題、中国における製造業の人件費はここ10年で2倍以上に跳ね上がりました。(岸田政権の所得倍増計画はどこに消えた?)
2022年下期は業績の下方修正が相次ぐ可能性があり、それは当然株価にとっては逆風となります。
やはり来年の株価には期待できないというのが個人的見解であり、選別投資をしていくほかないと覚悟を決めるのです。
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