50歳を過ぎると死を意識し始める。安楽死という選択肢がない悲劇

オスカー・ワイルドの『幸福な王子』に出てくるツバメさんは、「死は眠りの兄弟」と言い残し、死んでいきました。
なんとももの悲しくせつなくて、心を打たれる傑作です。著作権も切れており、短編で時間も取らないので、読んだことがないかたは是非お読みください。
https://www.hyuki.com/trans/prince.html
ところで、日本の高齢化はすさまじい。健康であれば長寿も良いのですが、最後は老人ホームや介護施設などに入れられて、それら施設はまるで死を待つ待機所といわんばかりです。
死は眠りの兄弟と考えれば、自らの意思で死を選ぶ権利があってもよいのではないかと考えさせられるのです。そう、安楽死です。
同じ自殺でも年代で様相は異なる
日本では毎年約2万人の人が自ら命を絶っています。
自殺者の増減がその時々の経済状況の影響を大きく受けることは下のグラフからも明らかです。

(出所:社会実情データ図録)
アベノミクス以降、自殺者は目に見えて減りました。悪夢の民主党政権といわれるゆえんです。
そして自殺の手段は年齢により大きく異なります。

(出所:厚生労働省)
特徴的なのは以下の2点です。
・10代は飛び降り、飛び込みによる比率が他の年代に比べて圧倒的に高い
・年代が上がるほど、首吊りの比率が高くなる
これは何を意味しているのでしょうか。
10代の自殺の特徴
10代の若者の自殺は衝動的である可能性が高いといえるのではないでしょうか。
自我が画一しておらず、精神的にも不安定なため、突発的に死を選ぶ比率が他世代に比べて高いと考えられます。
また、年齢が上がるにつれ、熟慮のうえでの自殺が増えていると推測します。首吊りにはそれなりの準備と大いなる覚悟が必要です。
いずれにせよ不幸であることに変わりはありません。
ピンピンコロリの矛盾
健康で長生きならば何の問題もありません。しかし、実際にはなかなかそうはいかないのが世の常です。
「ピンピンコロリ」などともっともらしいキーワードを聞いても虚しくなるだけ。それが理想だったら人間ドックなどやらないほうがよいはずです。
念入りな検査で、昔だったら死んでいるはずの人間を助けるのは良いことですが、それと「ピンピンコロリ」とは明らかに矛盾しています。
なんと日本では寝たきりになっても、そこから10年生きるのが普通というのですからもはや自然の摂理から逸脱しているといってもよいと思います。
(参考)

(出所:厚生労働省)
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安楽死と自殺許容度の関係
遺された人にとって、もっとも悲しい死は予期せぬ死であるというのが個人的な見解です。
そして本人にとって、もっとも悲しい死は年老いて介護が大変になり、やっと死んでくれたと周りから安堵されるような死に方ではないでしょうか。
そんな死に方は誰も望まないと思いますし、そうなる前に自らの選択で安楽死を選べるという選択肢があってもよいと考える人は少なくないと思います。
世界でも以下のような国では安楽死が認められています。
オランダ、ルクセンブルク、ベルギー、カナダ、コロンビア、スペイン
これらの国々は概ね自殺に対する許容度が高いようです。そのような土壌があるからこそ、安楽死が認められているものと考えられます。

(出所:社会実情データ図録)
最後に
上のグラフを見る限り、日本も自殺許容度は比較的高いといえます。
そう考えると日本でも安楽死は受け入れられる土壌はあるといえるのではないでしょうか。
死んで心の中で喜ばれるくらい悲しいものはない。そんなことになるくらいなら、自らの尊厳を保って安楽死を選ぶという選択肢があってもよいのではないかと考える今日この頃なのです。
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