楽天、ついにここまでやる。なりふり構わぬ資金調達で綱渡り勝負

楽天が携帯電話業界に参入を決意したときと現在の事業環境はまったく異なるものといえます。
なにしろ当初、楽天モバイルが提示したプランは2,980円のワンプランだったのですから。
誤算だったのは菅首相がスマホ料金を半ば強制的に値下げに追い込んだことです。2,980円の単一料金など夢のまた夢と化しました。
完全なる買い手市場となった日本のスマホ市場で、楽天モバイルはなんと0円プランまで出す始末・・・。しかし、これまた赤字垂れ流しで朝令暮改のサービス廃止ときたもんだ。
もはやダッチロール状態であり、当初の目論見は完全に崩れ去ったと見たほうがよさそうです。
喉から手が出るプラチナバンドだが
楽天グループが携帯事業の投じた資金はすでに1兆円をゆうに超えます。それでもまだまだ発展途上段階にあるゆえに投資は続けなければなりません。
楽天モバイルは建物の奥まで電波がつながりやすいプラチナバンドと呼ばれる周波数を大手3社の嫌がらせで手に入れられていません。
(関連記事:出る杭は徹底的に叩く。大手3社による楽天モバイルいじめ)
いずれは手に入るとは思いますが、割り当てられた電波を有効活用するにはさらなる投資が欠かせません。
前門の虎後門の狼といった状況なのが今の楽天モバイルです。
財務体質悪化中
楽天の2022年1~9月の連結決算はなんと2,580億円もの大赤字・・・。前年同期は1,039億円の赤字ですからさらに悪化の一途をたどっています。
赤字垂れ流しで、負債は増える一方であり、2022年9月末の有利子負債は2兆7千億円超と巨額になってしまいました。
日本国は自国通貨を発行できるので、いくら赤字でも破綻することはありませんが、一民間企業はそうはいきません。
楽天は窮地に陥りつつあります。
格付け低下で資金調達コストも増加中
そんな状態ですから、格付会社からも厳しい評価が下されています。
楽天グループは2022年11月30日にドル建ての社債を発行するわけですが、その格付(S&P)はダブルBプラスと投機的水準となっています。
S&Pはさらなる格下げを示唆しており、財務内容が好転しなければ年内にも楽天グループの格付をダブルBに下げる可能性が高くなっています。
格付が低ければ資金調達コストは高くなります。
驚くなかれ、今回発行する債券は2年もので発行額は約700億円なのですが、その利回りはなんと12%にもなります。
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米国債との比較
では2年もの米国債券の利回りはどの程度なのでしょうか。
2022年11月下旬の水準で約4.7%前後となっています。楽天は米国債の2倍以上の利回りを提示しなければ資金の調達ができないという大安売り状態になっています。
それでもなんとかして資金調達しなければ事業が行き詰ってしまう。時間との戦いが繰り広げられているといってよいでしょう。そして残された時間はそんなに多くありません。
稼げないが値上げもできない窮地
格安スマホで割安な価格帯を提示するMVNOは楽天モバイルにとって目の上のたん瘤だといえます。
楽天モバイルよりも魅力的な価格を提供するとともに、電波も安定している。あえて楽天モバイルを選択する理由は見つかりません。
大手3社と比べて、1契約から得られる収入が圧倒的に少ないのが楽天モバイルの弱みです。
NTTドコモが4,060円、auが3,920円、ソフトバンクが3,880円なのに対し、楽天モバイルはわずか1,472円にすぎません。かといって値上げをすれば顧客は逃げる。楽天モバイルは出口の見えない迷路を彷徨っているようです。
楽天の挑戦は無謀だったのか、それとも生みの苦しみなのか。その答えは5年以内に出るものと思われます。
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