日本株離れは日本が経済小国になることを予見する。若者の合理的投資行動

高齢化が進んでいるのだから、株主も高齢になるのも仕方がない、なんて悠長なことを言っていられないのが昨今の日本株を取り巻く株主の動向です。
日本株を保有する個人投資家のうち、70歳以上の高齢者が占める比率はなんと4割にものぼるというのです。
いくら高齢化が進んでいるといっても、人口の4割が高齢者なんてことはないはず。いったい若い世代は何に投資しているのでしょうか。それともそもそも投資する余裕などないのでしょうか。
人口比と株式保有比の比較
以下は日本の人口ピラミッドです。

(出所:厚生労働省)
2022年現在、日本の成人人口のうち70歳以上の高齢者が占める比率は約26%となっています。
70歳未満の成人が約7割を占めていますが、日本株の株主構成は人口比と比例していません。
若年層の比率が人口比に比べて著しく低くなっているのです。これはいったいどうしてなのでしょうか。
若者の日本株離れ
この要因はひとえに若年層の日本株離れにあります。
バブル崩壊から30年以上経過し、現代の若年層にバブル崩壊の苦い思い出はありません。FIREなどという言葉に象徴されるように、投資には積極的な若者は多いのです。
しかし、悲しいかなその投資先は日本株ではありませんでした。
ではいったい何に投資しているのでしょうか。
若い人にとって株といえば米国株
人気を博しているのはやはり米国株です。
インターネット取引の浸透により、海外株への投資は身近になり、また手数料も安くなりました。ネットを使えば情報の取得にも困ることはありません。
大手ネット証券では30歳代の株式取引は日本株よりも米国株の方が多いというのですから驚くばかりです。
しかし、それも納得。なにしろ、米国企業の方が日本企業に比べて稼ぐ力が強いのですから。
ここ10年で日経平均採用銘柄の売上は3割増となっていますが、米国主要企業の売上は5割増と日本企業を大きく上回ります。
成長企業の方が株式の上昇余力が大きいと考えての投資行動であろうと推測できます。
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ここ10年、日本株も悪くなかったが
本当に米国株のパフォーマンスは日本株を上回っているのでしょうか。
以下はここ10年の日経平均、NYダウ、S&P500、NASDAQの値動きを比較したものです。

意外なことにここ10年に限れば日本株(青線)のパフォーマンスも悪くはありません。
アベノミクスがスタートした時期からちょうど10年になりますから、日本株とて捨てたものではなかったといえます。
とにかく目立って上昇しているのはNASDAQ。
米国株を個別銘柄で投資している人の多くは成長市場であるNASDAQの銘柄に投資しているのではないかという推測が成り立ちます。
日本は世界5位の元経済大国へ
世界主要国のGDPの推移を見れば、日本株を見捨てる理由も理解できます。

(出所:世界経済のネタ帳)
2020年代に日本がインドに抜かれるのは確実であり、ドイツにも抜かれそうな気配です。
あと5年もすれば、日本は世界第5位の元経済大国ということになるのでしょう。
経済が成長しないのに株価だけが上昇するなどという都合の良い話はあるはずもない。若年層の投資行動は合理的といわざるを得ません。日本株パッシング・・・。
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