同じインフレにも二種類ある。対応を誤れば悪性インフレが加速する

インフレと一言でいってもそれには種類ってものがあります。
昨今は米中経済戦争、コロナ禍そしてウクライナ戦争とインフレを加速させる要因が相次ぎました。
物価は上昇し、日本のインフレ目標はあたかも達成されたかのように見えます。
しかし、それは当初日本政府が目標としていたインフレとは全く様相が異なります。
これでインフレ目標達成だ!などと気を緩めて金融引締めや緊縮財政などを進めれば、失われた30年はさらに伸び、50年になる可能性が高いでしょう。
そうなれば日本沈没であり、もはや再起不能だといえます。
1990年代からの悲劇
以下は1980年以降の日本のインフレ率の推移です。

(出所:世界経済のネタ帳)
1990年代後半から2010年代前半までのデフレがいかに強烈であったかがよくわかります。
とにかくこの間は、来年は今年よりも悪くなるという状態が10数年にわたり続いたのでした。
その間、自殺者が3万人を超えていたのは日本の悲劇だといえます。この時期に就職を迎えた学生は時代の犠牲者だといえます。
単に生まれた年によって、人生がうまくいかないというのはあまりにも酷な話です。
物価上昇の理由が悲惨すぎる
2014年にはインフレ率が3%近くに上昇していますが、デフレから脱却したわけではありません。
これは単に消費税が5%から8%に上がっただけのことです。
それでも物価が上がるだけの元気があったのは救いです。2019年の消費増税ではもはや物価上昇すら起こらないという低温経済に成り果てていました。
アベノミクスは半分成功、半分失敗といったところなのです。それでも今よりマシであることは疑いようはありません。
そしてその後のコロナ禍、ウクライナ戦争へと続くわけです。
同じインフレでも似て非なるもの
インフレには二種類あると書きました。
多くの人はご存じでしょう。「コストプッシュ・インフレ」と「ディマンドプル・インフレ」です。
コストプッシュ・インフレは、資源価格の高騰や、工業部品などの欠品などによる供給制約、人件費の高騰などによっておきます。
一方、ディマンドプル・インフレは、景気の上昇による消費や設備投資の活性化で供給が需要に追い付かないために起きます。
さて、今世界で起きているインフレはどちらか?言うまでもないですがコストプッシュ・インフレです。
これは悪性のインフレであるといえます。なにしろ、景気が良くないのにもかかわらず、物価が上昇するのですから。
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コストプッシュ・インフレの処方箋
さて、コストプッシュ・インフレのときに取るべき最善の政策はどんなものでしょうか。
目標どおりインフレ達成となったのですから、金利を上げ、財政支出を減らせばよいのでしょうか。
コストプッシュ・インフレは供給力が落ちていることによって起きています。このようなときに、落ち込んだ供給力に合わせて財政支出を減らし、金利を上げたりしたら、経済は縮小均衡に陥ることになります。
供給力が弱くなっているのですから、それを強くするための投資が必要なのです。それは官民問わずいえることでしょう。
供給力が回復すればやがてインフレは収まります。このようなときに増税などをするのは愚の骨頂だといえるでしょう。
最後に
その愚を行う者がいるのですから驚いた!なんと日本の宰相、岸田氏は自らが愚か者であることを世間様に自ら示したのです。
これでは支持率が下がるのも当たり前。岸田政権の命は風前の灯となってまいりました。早くその灯も消えてほしいものです。
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