苦労しても市場平均には勝てないという考え方が大勢を占める

世の中はインフレが続いているわけですが、こと投資信託においてはデフレが加速しているといえます。
投資信託の購入手数料や信託報酬です。
アクティブ型よりもパッシブ型に人気が集中しており、購入手数料や信託報酬の値下げラッシュが相次いでいます。
一方で、パッシブ型ばかりが売れると市場の歪みが生じかねないという懸念も示されています。
いったい今、投資信託市場で何が起きているのでしょうか。
パッシブ運用、大人気
世界的にパッシブ型の投資信託の比重が高まっています。
その割合は約4割となっており、過去最高水準にまで高まっています。
2022年1月から10月末までにパッシブ型には51兆円もの資金が流入した一方、アクティブ型からは48兆円の資金が流出しました。
金額規模はほぼ同等であり、アクティブ型からパッシブ型への乗り換えが進んだものと推測されます。
それもそのはず。
アクティブ型には高い信託報酬を払っている以上、市場平均を上回るパフォーマンスを求めるのは当然でしょう。
しかし、実際には市場平均を上回るパフォーマンスを出したのは4分の1のファンドにすぎません。見限られて当然といえます。
IFAの存在感高まる
ほかにもパッシブ型に人気が集まる要因があります。
世界的に、特定の金融機関に属さずに、独立して顧客に資産運用のアドバイスを行うIFAが増加していることです。
IFAは顧客の運用資産額に一定の比率をかけた手数料を得るのが普通です。顧客の運用資産に対する信託報酬などの費用はなるべく抑えたいという力が働くのは当たり前です。
市場平均に劣る成績で、高いコストを払わなければならないアクティブ型を避けるのは賢明な判断だといえるでしょう。
IFAは顧客との利益相反が発生しにくいため、顧客本位の営業が制度的に行われやすいというメリットがあります。
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若年層の高いコスト意識
さらにパッシブ型には追い風が吹いています。
インターネットの普及により簡単に多くの情報にアクセスできるようになったことから、昨今の若者は多くの情報に恵まれています。それは投資の世界でも同じです。
以下は世界のインターネット普及率の推移です。

(出所:社会実情データ図録)
ところで、このグラフを見ると経済成長とともにインターネットが普及していくことがよくわかります。中国が典型です。
そして、インドには経済成長の余力が大きいことがわかります。人口も今年中に中国を抜いて世界トップになるといいます。インドは独裁政権でもなく、世界最大の民主主義国です。
昨今、インド株に投資する投資信託が人気だというのはこの辺りが原因だろうと思います。
若者は投資に関しても多くの情報を手軽に入手できることから、より賢明な選択をすると考えられます。
とりわけ昨今の若者はコスト意識が高い。それは若者の失業率が世界的に高いことと無関係ではないでしょう。

(出所:厚生労働省)
先進国の雇用は中国など人件費の安い国に奪われてしまいました。
そしてその煽りをもっとも食らっているのは先進国の若年層だといえます。
パッシブ運用への揶揄
パッシブ運用はフリーライダーではないかという批判があります。
アクティブ運用をする者は企業調査や市場調査をして、株価の適正水準や成長性などを評価し、株の売り買いをします。
その評価をすることなく、市場から利益をかっさらっていくのがパッシブ運用だというのです。
パッシブ運用が広がれば、株価が正当に評価されなくなり、市場の価格発見機能が弱まるという見方もあります。
個人的にこの批判はまったく的外れとしか思えません。
投資を行う際に利用されるのは投資信託だけではないからです。投資信託でテンバガーを見つけるのはほぼ不可能といえます。
だからこそ、夢を追い個別株を買う人がいます。個別株投資家がいなくなるとは思えないからして、市場の価格発見機能が衰えるなんてことはないでしょう。
単にアクティブ型を売りたい者がパッシブ型を悪者にするための論理にすぎないと思うのです。
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