銀行株の台頭は日本経済のさらなる弱体化を予言する

雲

コロナ禍で広がった金融相場の巻き戻しが今起きています。

日本銀行が長期金利の上限を0.5%としたことで、長期金利は上昇して現状、0.5%弱といったところ。

また、アメリカの利上げも落ち着いたことから日米の金利差が縮小し、円が買われて1ドル130円近辺まで円高になっています(円高ってほどの円高でもないが・・・)。

どうにもこうにも株式市場を取り巻く環境は怪しい。金利と為替の変化は株式市場の動向にも大きな影響を与えています。






大発会相場は日本の縮図


黒田日銀総裁は、金利の引締めが本格的なものではないことをアピールするのに必死のようです。

しかし、もはや黒田総裁の任期はわずかであり、こう言ったら失礼ですが、レームダック化しているのではと勘ぐりたくなります。

今のところ、短期金利の誘導目標は変わっていないのが救いですが、日銀総裁が変われば、短期金利にも手を付けてくる可能性が高いと思います。

ところで、2023年1月4日の大発会相場は見事に日本経済の状況を表わしていると思います。まさに株式市場は日本経済の縮図です。

日本の産業界の主役は?


業種別の株価を見ると、上げているのは圧倒的に銀行株。そして保険会社株、証券株といった金融関連銘柄です。

その他は軒並み下落しており、もっともひどいのは海運業。海運会社はコロナ禍で爆上げしていたわけですが、2022年春から完全に下落トレンドまっしぐらといった状況になってきました。

●日本郵船(9101)
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そのほか、日本経済の柱ともいえる製造業の株価もさえません。

日本は資源もなく、食料も自給できない。そんな国が外国からモノを買うには、日本にしかできない高い技術力を駆使した競争力の高い製造業による輸出が欠かせません。

しかし、円高はそれを妨げることとなるのは1990年代以降の日本経済を見れば明らかです。

円高が奪い取るもの


以下は日本の海外直接投資の推移です。

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(出所:社会実情データ図録)

2000年代後半から猛烈に増加していることがわかります。

これが為替レートが円高に振れたことによることは明らかでしょう。

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(出所:社会実情データ図録)

円高で日本の工場の多くは海外へ移転しました。そして失われたのは良き雇用と技術です。

一度失われた技術はもはや取り戻すことはできません。

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Jリート投資家、我慢が続く


Jリート投資家にとっても2023年はつらい年になりそうです。Jリートはお金を借りて不動産投資をしている以上、金利が上がれば金利負担が大きくなり、減益要因となります。

投資家への分配金はなかなか増えないだろうし、その分は価格が下がることで調整されるに決まっています。

以下はここ2年の東証リート指数の動きです。

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2021年半ばから下落トレンドに入ったと考えられます。このトレンドはまだまだ反転しそうにありません。

唯一の希望は新NISAによる投資の活発化ですが、海外資産への投資に相当程度流れそうであり、日本株やJリートにお金が回るのかは怪しげな状況です。

驚くべきランキング(1989年)


思えば、金融株が上がる相場など日本経済にとって良いはずがないっ!

金融機関はあくまでも黒子であるからして主役になることはできません。日本経済の柱はやはり製造業であることは間違いないと思うのです。

1989年における世界の時価総額ランキングを見ると驚きます。

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(出所:社会実情データ図録)

上位には軒並み日本の銀行株が入っていました。

しかし、30年の歳月が過ぎ、上記の銀行の中で単独で生き残っているところは一つもないというのも恐ろしい。

最後に


日本の株式市場で銀行株が主役になるということは日本経済の弱体化の予兆だと捉えることができるのではないでしょうか。

そして、今再びそんな状況になりつつあります。

政府、日銀の今後の経済運営は綱渡りが続くといえるでしょう。

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