大手銀行さん、自分の都合により新NISAで貯蓄を投資に振り向けようとする

罠

2024年から新しいNISAが始まります。

今回の制度改正は素晴らしく、NISAは格段に使い勝手と利用枠が広がります。

個人投資家にとっては実に喜ばしい。

ところで、この機に乗じ大手銀行を筆頭に金融機関は「貯蓄から投資」などと、もっともらしい決め台詞で新NISAの活用を検討しています。

そこには顧客本位というよりも自分本位とも思われる構図が見え隠れするのです。






預金の価値が目減りする恐怖


日本全国の銀行の預金残高は2022年11月末には、892兆円もの残高が積み上がっています。

10年で約300兆円も増えており、消費者や企業がいかに守りに入っているかがわかります。預金の増加はなんと16年以上続いているのです。

しかし、昨今のインフレは預金の価値を相対的に減少させています。

預金者としては、預金の実質目減りは避けたいところです。そこに降ってわいたかのような新NISAという話。これに乗らない手はありません。

金融機関としても顧客が望むサービスに力を入れるのは当たり前。

そんなわけで多くの金融機関は新NISAを客寄せパンダ商品として推進していく方針を打ち出しています。

口座は開いてみたものの・・・


現行NISAは制度が複雑なせいか、金額の枠が小さすぎるのかは定かではありませんが、口座開設者の稼働率が低いのが実態です。

非課税メリットを得られるにもかかわらず、7割程度しか稼働していないのです。

新NISAになれば稼働率が上がるのかは疑問ですが、一人あたりの投資枠が大きくなるわけですから、貯蓄から投資への流れも大きくなるでしょう。

ある証券会社の試算では、新NISAになれば投資額は今のNISAの約3倍になるといいます。

そうなれば株高、円安要因となるはずですから、日本経済にとっても追い風が吹くというものです。

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新NISAは利用価値がある商品


一方でこんな見方もできます。

日本銀行は、銀行が日銀に預ける日銀当座預金の一部にマイナス金利を適用しています。

預金するとお金が減るというわけです。

当然、そんなことは割りにあわない。というわけで、銀行には増えた預金をなるべく他の金融商品に回したいというインセンティブが働きやすくなります。

今だ資金需要は少なく、銀行経営は依然として厳しい。そんな中で、手数料ビジネスは重要性を増してきており、新NISAは利用価値がある格好の商品というわけです。

最後に


新NISAは顧客の預金を他の金融商品に振り向ける絶好のチャンスなのです。そして、そんな本音はおくびにも出さずに勧めてくるのでしょう。

しかし、顧客の立場からすれば身勝手な策略にしか見えません。

金融機関がそんなことを考えていないと願いたいもんですが、どうも眉に唾がついてしまうのです。

過去の実績、行動原理を振り返れば疑念は拭えない。そんなわけで、金融機関の踊り文句に踊らされてしまってはならないと考えるわけなのです。

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