米リート市場から見えるJリート市場の割高感。下落余地は大きく・・・

Jリート投資家をビビらすのはアメリカにおけるリートの惨状です。米リート市場は極端なほどに冷え込んでいます。
これが行き過ぎた弱気なのか、それとも今後の不動産市場の軟調を示唆するものなのかは定かではありません。
しかし、世界でもっとも巨大なリート市場であるアメリカの惨状がやがて日本にも波及すると連想が働くのは当然です。
2023年1月19日のJリート市場はまさにそんな雰囲気が漂いました。全銘柄が値下がり・・・。そして、これは単なる序章ではないかという恐怖が襲い掛かるのです。
世界のリート安連鎖
世界的にリート市場が冷え込んでいます。中でもひどいのがアメリカ。その中でもオフィス系が悲惨なことになっています。
米オフィス系リートの時価総額は2021年末に比べて4割も安くなってしまいました。
不振の理由は日本とほとんど同じです。
コロナ禍で在宅勤務が定着化し、平常化した現在でもオフィス需要が戻りません。オフィスへの出社率はコロナ前の5割程度であり、オフィスの存在価値は低くなりました。
今後さらにオフィス需要が減退するという見方もあり、安くても買いが入らないというのが現在の姿です。
かつてないほどの空室率
また、景気減速の兆しが強まっていることも米リート市場に暗い影を落としています。
とりわけ目立つのがIT系企業です。今まで好調だっただけにその反動が大きくなっていると思われます。
IT企業が多く集まっているサンフランシスコのオフィス空室率は2022年秋には27%にまで上昇し、1990年代以降で最悪の状態です。
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驚きのNAV倍率
驚かされるのは、NAV倍率(※)の異様な低さです。
米オフィス系リートのNAV倍率は平均約0.6倍程度となっています。
不動産物件の価値の6割程度ということを意味しており、理論的には保有する不動産をすべて売却して投資家に返還したほうが得ということになります。
これが単なるリートの需給関係によるものか、今後の現物不動産市場の下落を示唆するものかの判断が難しい。どちらかが100%の要因を占めるものでもなく、両方の要因が絡み合っているのだろうと思います。
(※)NAV倍率
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といい、さらに、投資口価格を投資口数1口あたりのNAVで割ったものをNAV倍率という。株式投資におけるPBRの概念に近い。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができる。
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といい、さらに、投資口価格を投資口数1口あたりのNAVで割ったものをNAV倍率という。株式投資におけるPBRの概念に近い。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができる。
最後に
気になるのは日本のオフィス系JリートのNAV倍率との差です。
オフィス系Jリートの平均NAV倍率は0.8倍強といった水準です。1倍割れとはいえ、アメリカに比べれば割高水準であり、下落余地が十分にあることを意味します。
2023年のJリート市場は波乱含みであり、逆張り派にとっては大チャンス、順張り派であれば様子見を決め込むほかなさそうです。
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