狼少年と化している証券業界。預かり資産残高重視は挫折の山

仕組債の販売が顧客本位とはほど遠い、むしろ自分本位であったことから、仕組債の販売に注力していた証券会社や銀行に対して金融当局から厳しい視線が投げかけられているのはご存じのとおりです。
そして、最近再び預かり資産残高を重視する姿勢を打ち出しているのが大手証券会社。
しかし、これまで何度となく、それこそ20年以上も前からこの手の話は持ち上がっては消えるの繰り返しでした。
その理由は至極単純で明解です。
顧客の利益を最優先に考えれば、自分たちの利益が少なくなり、赤字経営になってしまうからです。
今、再びそのような方向性が打ち出されているわけですが、その実現可能性はいかにも眉唾モノと言わざるを得ません。
無理を承知の評価体系
SMBC日興証券が個人向け営業の評価体系を収益重視から、預かり資産の伸びを重視する体系に改めたといいます。
大和証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券なども同様の方針を打ち出しています。
単純にいえば販売時の手数料収入を評価する体系から、預かり資産残高の伸びを重視する評価体系に変えたということです。
しかし、この評価体系に無理があると思われるのは、投資信託の販売手数料や信託報酬などのフィーが右肩下がりで安くなっていることです。
ラップ口座が切り札。しかし投資家にとっては・・・
証券会社にとっての切り札はラップ口座であると思われます。
預かり資産の残高に対して年率1.5%前後の手数料をいただき、売買の都度の手数料はとらないというものです。市況の影響を受けずに安定的な収益が期待できるからです。
しかしながら、1.5%の手数料はいかにも高い。
そんなに手数料を取られるくらいならば、信託報酬の安い投資信託を買ったほうがよほど効率がよいと思います。
いまや年率0.1%台の信託報酬で済むファンドがゴロゴロしています。
多くのアクティブ型ファンドがインデックス型のファンドのパフォーマンスを上回ることができないのと同様に、ラップ口座もインデックスのパフォーマンスに敗北することが多いのではないかと思います。
なにしろ手数料が高すぎる。
野村証券すら生みの苦しみ
天下の野村証券も顧客の預かり資産残高に応じて手数料を受け取る方式を2022年4月に始めました。
しかしその対象資産は2022年9月末で、たったの2500億円だというのです。野村証券の預かり資産残高をご存じですか?
110兆円以上なのですよ。その中のたった2500億円・・・。
これでは焼石に水といった感はぬぐえません。
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個人営業は淘汰の時代へ
高齢の顧客、超富裕層はともかくとして、個人営業で大手証券会社が生き残るのは難しいとみます。
もはや若い世代はネット証券やスマホ証券を利用しており、わざわざ対面でわけのわからぬセールストークなど聞かされたくはないのです。
株や投資信託も購入手数料は無料が当たり前の時代になりつつあります。
そしてさらに信託報酬も下がり続けている。20年後に対面証券の個人営業が生き残っている可能性は極めて低いと考えざるを得ません。
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