外国債券、一気に人気を失う。いったいどうして?

ほんの少し前まで、日本の投資家は外国債券をこぞって買い集めていました。
それもそのはず、日本の債券を買っても利回りがとれない。高金利である外国の債券に救いの手を求めるのは当然の話です。
しかし、ここに来て一気に話は変わりつつあります。
2022年、日本の投資家は外国債券を22兆円も売り越したというのです。海外債券は日本に比べれば利回りが高いのにいったいなぜなのでしょうか?
ヘッジコストの急騰が原因
なぜ日本の投資家は外国債券にそっぽを向け始めたのか。それはひとえに為替ヘッジのコストが急騰したからです。
いくら海外の債券の利回りが高くても、機関投資家などは為替リスクに無防備となるわけにはいきません。
当然、為替ヘッジをかけて、為替変動リスクに備えるわけです。
ヘッジをすれば当然コストがかかる。このコスト負担が急激に大きくなってしまったのです。
ヘッジコストは何に左右される?
ヘッジコストはどのように求められるのか。
それは日米を例にとれば、短期金利の差から求められます。差が大きければヘッジコストも大きく、小さければその逆となるわけです。
2022年、日本は蚊帳の外でしたが、欧米ではインフレ退治のために中央銀行が軒並み短期金利を引き上げました。
以下はアメリカのFF金利の推移です。

2022年初頭から階段状にどんどん金利が上昇しました。一方で日本の無担保コール翌日物の金利はどうでしょう。

ほとんど横ばいで上がっていません。
日本は金利を上げられる環境になかったため、欧米の短期金利と日本の短期金利の差は拡大したわけです。
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フルヘッジではアメリカ国債はマイナス利回り
例えば今(2023年2月初頭)、アメリカの10年物国債(利回り3%程度)に為替ヘッジをかけてしまうと、利回りはなんとマイナスになってしまうのです。
損をするために投資するわけがないから投資は手控えられて当然です。
そんな中、欧米の金利は大きく上昇し、日本の投資家は為替差益よりも債券の値下がりのほうが大きくなってしまい、外国債券の損切りに走りました。
これが外国債券売り越しが急増した要因です。
円高圧力が高まる可能性
さて、外国債券を売り、日本の債券を買う。あるいは外国債券を買わない。これは為替レートにどのような影響を与えるのでしょうか。
円買いドル売りの需要が増える、あるいはドル買いの需要が減るのですから、円高圧力が高まることになります。
また、ここに来て年内にはFRBはFF金利を引き下げるのではないかとの見方もあります。これらが複合要因となって、度を過ぎた円安に歯止めがかかったと考えられます。

それにしてもFF金利の上昇に合わせ、ドルが買われて円安に振れたことがよくわかります。教科書どおりの展開といえるでしょう。
そして、次期日銀総裁にどんな人が選ばれるのか?これによって日本の金融市場は大きく動くことになるはずです。
2月には内定が出るはず。金融関係者、投資家は固唾を飲んで見守っているのではないでしょうか。
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