ネット証券の手数料競争はいよいよ最終地点に到着。SBI禁断の手数料無料化へ

さすがにここまでくると他社の追随は許さないようです。SBI証券はこれまで、日本株の現物売買手数料を25歳以下に限って無料としてきました。
25歳以下の投資家は多くはない。したがってその影響は軽微であったと考えられます。
ところが、SBI証券は無料化の対象を今年(2023年)の9月末までに全年齢に広げるというのです。これは他社に甚大な影響を与えるはずです。
ネット証券のみならず、対面証券にも多大な影響を及ぼすことは間違いなしでしょう。SBI証券の親会社であるSBIホールディングスの北尾会長は、手数料の引き下げ競争に終止符を打つと豪語しています。
しかし、個人的にはまだまだ終止符は打たれないと考えます。信用取引の売買手数料は依然として無料ではないからです。とはいえ、信用取引を行う投資家は多くはない。
ある程度予想されていたこととはいえ、SBI証券の施策は他の証券会社に激震を与えるに違いありません。
先行モデルはアメリカのチャールズ・シュワブ
手数料無料化の流れはアメリカの動きに追随するものです。
アメリカのネット証券大手、チャールズ・シュワブは既に2019年には株の売買手数料を無料にしています。
それでも2022年12月期の純利益はなんと9600億円!前期に比べて2割も増益となっています。チャールズ・シュワブのビジネスモデルは、信用取引で顧客に貸した資金や株式の金利を主な収益とすることです。
2022年は米金利が上昇したため、収益も拡大したというわけです。
一方、日本は経済が依然として低迷しているため、金利を上げられるような環境にはなくアメリカとは状況が違うといえます。
200億円を捨てて、新規顧客を取る作戦
現物株の売買手数料を無料化することによって、SBI証券は200億円の減収要因になるといいます。
しかし、2021年3月期のSBI証券の連結決算を見れば、営業利益は600億円以上となっており、200億円ふっとんでもなお、多額の黒字を維持できることができそうです。
これはSBI証券が外国株取引やFX、投資信託など多様な収益源を持っているからにほかなりません。
しかし、収益の柱が少ない他のネット証券は追随することは難しいでしょう。
代表的なのが松井証券です。
SBI証券の日本株の売買手数料依存度は1割強であるのに対し、松井証券は4割強となっています。日本株の現物手数料を無料化したら収益は激減するでしょう。
松井証券は無料化には追随しない方針を明らかにしています。
投資家の期待
株価の動きはどうでしょうか。
●SBIホールディングス(8473)

株価はむしろ上昇しています。SBIは損して得を取ると読んでいるという投資家が多いのでしょう。
事実、SBIはこれまで他社が手数料を下げれば、必ずと言ってよいほどそれ以上の値下げをして対抗し、顧客を獲得してきました。
その結果が、ネット証券No1の実績です。
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様子見を決め込む他社
その他のネット証券はどうでしょうか。
楽天証券は現状、方針は決めていないとしています。マネックス証券は、具体策は話せないとしており、auカブコム証券はSBI証券の動向を注視したいと述べています。
要は、他社の出方を窺っているだけであり、後出しじゃんけんをしたほうが有利だと決め込んでいるに違いありません。
このままではSBI証券の一人勝ちへ
さて、SBI証券のこの施策によって、顧客は動くのか?それは神のみぞ知るといったところです。
しかし、新規顧客は確実にSBI証券に流れていくでしょう。昨今、楽天証券に顧客を取られていた危機感がSBI証券の手数料無料化につながったと考えられます。
また、2024年からの新NISAでの顧客獲得競争の布石であることも間違いありません。
他のネット証券は現物株手数料を無料化したら、大方の会社は赤字に転落すると見られています。手数料を下げなくても顧客に逃げられない、あるいは新規顧客を獲得できる方策をなんとか考え出すほかなさそうです。
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