ステルスインサイダー、シャドー取引が跋扈する株式市場

チャート

インサイダー取引が違法であることは、株式取引をやっている人なら誰しも知っていることでしょう。

しかし、わかっていてもやめられない。これはアメリカも同じようです。

M&Aを発表したアメリカ企業の約2割でインサイダー取引が疑われる取引が行われているといわれています。そして、さらに間接的なステルスインサイダー取引ともいえる取引が急増しているのです。

これは脱法行為ともいえるものであり、アメリカでは一部法改正が行われました。日本でも同様の取引が行われている可能性は十分にあり、アメリカ追随の規制が実施される可能性があるのではないかと想像するのです。






新手のインサイダー取引


企業のM&A情報を事前に察知した者が、当該企業の株式を取引すれば、インサイダー取引で捕まる可能性が高くなります。

そこで、そのリスクを回避するために行われる新手のステルスインサイダー取引ともいえる取引がアメリカで急増しています。これは「シャドーインサイダー取引」と呼ばれています。

M&Aに直接関係する会社の株式を売買するのではなく、競合他社や、当該企業に関連するETFを売買することで、インサイダー取引と同様の効果を狙うという取引です。

かなり広範に行われている可能性


2009年から2021年にM&Aを発表した企業、3209社を分析したところ、該当企業を含むETFの売買高が通常の平均よりも50%以上多くなる、異常な取引が相当数発見されています。

該当企業の株式を直接売買するわけではないため、インサイダー取引とは認識されることはなく、しかし、儲かる可能性が高いという疑惑の取引なのです。

アメリカでの実例


実際に行われたシャドーインサイダー取引の事例について見てみましょう。

アメリカのバイオ関係の会社の社員が、事前にファイザーに買収されることを知りました。当該社員は自社あるいはファイザーの株を取引するのではなく、競合他社の株を買ったのです。連れ高になると踏んだのでしょう。

実際、ファイザーによる自社の買収が公表されると、競合他社の株も、連想から思惑買いが入り急騰したのです。

この事件は現在訴訟中であり、最終的にどのような判決となるかは未定です。

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最後に


インサイダー取引の証拠を掴むのさえ難しいのに、シャドーインサイダー取引となればなおさらでしょう。意図せず、売買をしてしまう可能性すらあります。

今後の動向が注目されます。

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