日本経済、日経平均低迷の責任を民間企業のせいにしたがる者たち

新聞

日経平均株価は、バブル真っ只中の1989年12月29日に3万8957円の高値をつけました。

それから33年以上の歳月が経ったにもかかわらず、今だその高値は遠く、約7割の水準にすぎません。33年かけて0.7倍・・・。

世界各国を見ればその異常さに驚きます。同期間で、中国やドイツは株価が8倍になり、アメリカは12倍になりました。

12:8:0.7!!

この差はいったい何なのか。

そして、この事実に関し日本経済新聞は頓珍漢な論評を展開しており、これまた驚かされるのです。






日本企業の稼ぐ力


日経新聞の記事では、日本と世界各国の企業の稼ぐ力の違いを指摘しています。

日本企業の売上高純利益率は6%程度であるのに対し、欧州は8~10%程度、アメリカは12%程度だといいます。まあ、そうなのでしょう。

これに対し、記事の中で名門大学の学者のおかしな論評が載っています。

日本企業の低迷は不十分な投資によるもので、これにより成長が阻害されているというのです。

日本企業の1社あたりの研究開発投資はこの10年間で25%減少している一方、中国は4.4倍、アメリカは2.3倍と大きく伸ばしています。

また、設備投資は日本が9%減少しているのに対し、中国は34%増、アメリカは28%増となっています。某学者の説は一見正しいようにも見えます。

原因があって結果があるのだが


しかし、物事には原因があって結果があるということを某学者は知らないらしい。日本企業が研究開発費を削り、設備投資を減少させたのは、需要が不足しているからです。

需要がないのに、設備投資をしたら無駄な遊休資産になってしまうのは小学生でもわかるでしょう。

バブル崩壊で資産が暴落したのに、借金は減らない。

だからひたすら借金を返し続けるという縮小均衡の経済環境の中で需要を伸ばすとすれば、政府がひたすら財政拡大をして需給ギャップを埋めるほかありませんが、日本政府はそれをしませんでした。

その結果が0.7倍です。

以下は1989年からの公共事業費の推移です。

20230301koukyou.jpg
(出所:社会実情データ図録)

民間需要が落ち込む中で政府も支出を減らしてきたことがわかります。

これこそが日本経済、そして日経平均低迷の原因です。民間企業の不十分な投資によるものでもなんでもない。

まるで正反対のことをいうエコノミスト


某証券会社の軽薄なエコノミストは、日本経済が停滞する中、高い成長投資に消極的な経営者が結果的に生き残ったなどと述べています。

そして、日経新聞はニッポン株式会社はアニマルスピリットを失ったなどと、的外れな指摘をするのです。その根拠として挙げられているのが、日本企業が内部留保を積み上げてきたことです。

しかし、日本企業が内部留保を積み上げたのは、デフレで需要がないから内部留保しておくことで生き残りを図るほかなかったからです。

これこそアニマルスピリットがある証拠であり、もし本当にアニマルスピリットを失っていたならば、需要がないのに研究開発や設備投資に明け暮れて、日本企業のほとんどが倒産していたことでしょう。

某エコノミストの指摘は間抜けな指摘としかいいようがありません。

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責任は民間へ押し付けるという作戦


アメリカ、サンフランシスコでは年収1400万円クラスだと低所得者層に属するといいます。

この30年で日本はここまで落ちぶれたと感じさせる話です。日本は島国だし、ほとんどの日本人は日本語しか話せませんから井の中の蛙になりやすいのではないでしょうか。

そして、日経新聞は一流大学の某教授の言を引用します。「市場の力を使うことが重要だ」

日本経済の低迷は日本企業そして経営者にあると言いたいのでしょう。実際は政府と日銀、政治家の責任であるにもかかわらずです。

経済に詳しくなりたければ日経新聞はお勧めできません。なぜなら彼らは財務省お抱えの広報機関ともいえる存在であり、洗脳を目的とするプロパガンダ機関のようなものだからです。

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コメント

非公開コメント

こんにちは

年収4桁で低所得層とは恐ろしいです。
有意義な情報ありがとうございます。

Re: こんにちは

コメントありがとうございます。
カリフォルニアでは年収2000万円以下は貧困層に分類されるという話もあり、日本がいかに貧困化しているかがわかります。
にもかかわらず、緊縮財政を唱える輩は許しがたいものがあるのです。