並居る金融機関が扱っているのに2社だけで過半数を占める金融商品、イデコ

電卓

積み立て型の資産運用が人気を集めています。

これにはいくつか要因がありますが、非課税のメリットを受けられるというのも、大きな要因の一つでしょう。

代表的な商品の一つが個人型確定拠出年金です。加入できる人、加入できる年齢など制度改正が続き、門戸が広がって人気を集めています。

取扱金融機関も数多い。しかし、その実態を見ると凄まじいばかりの寡占が起きているのです。いったいなぜここまで差がついてしまうのでしょうか。






イデコ加入者右肩上がり


銀行、信用金庫、証券会社、生命保険会社、損害保険会社などあらゆる金融機関がイデコを取り扱っています。その数は約300にも及びます。

取り扱う金融機関が増えたのは、加入する人が増えているからです。

加入者は2022年12月現在で約280万人ほどですが、わずか1年で約50万人増加しました。

ここ数年の制度改正で加入者はうなぎ上りに増加していることがわかります。

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(出所:iDeCo公式サイト)

2社その他大勢


300もの金融機関がしのぎを削っているのだから、加入者もあらゆる金融機関に分散しているかと思えば全く逆なのには驚きました。

2022年12月現在で、加入者の約51%がたった2社に集中しているのです。

加入者の2人に1人はこれらの金融機関で加入しているのです。それはいったいどこか?

SBI証券と楽天証券です。

しかもこの1年で寡占はさらに進んでいるのだから2社その他大勢といった構図なのです。

2社に見られる特徴


両社に見られる特徴は何なのか?

それは採算度外視のコストカットにより、加入者の負担を軽減していることです。

他の金融機関は自社グループの運用商品を主たる品揃えとしているのに対し、両社は、投資信託を見ても超ローコストのつみたてNISA商品を採用するなど、加入者のコスト負担を極限まで下げています。

これでは、イデコだけで採算を取るのは難しいわけですが、ネット証券はもともとローコスト経営が得意技です。何しろ営業マンがいないからローコストが実現できる。

また、イデコの加入者は30代、40代で7割近くを占めることから、いかに若年層から中年層が資産運用コストに厳しい目を向けているかがわかります。

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ネット証券の長期戦略


採算度外視でも顧客を集める理由は何なのか?

それは将来への布石です。イデコはやがて年金となって帰ってきます。そのお金で他の金融商品を買ってもらおうという超長期的な戦略なのです。

一方で、対面型の金融機関はイデコだけで儲けることは難しく、目先の利益を追い求めざるを得ないため、イデコの勧誘には熱心に取り組んでいないと考えられます。

金融機関の再編ふたたび


イデコの加入動向から未来の金融業界の姿が予測できます。

今、30代、40代の現役世代はコストに厳しく、ネットで金融取引を行うのが当たり前です。

そのため、店舗を構える対面型の金融機関は無用の長物となる可能性が高い。

すべてが淘汰されるとは思いませんが、バブル崩壊後の再編のようなことが再び起きることになるのでしょう。

それは今後20年かけてじわじわ進むことになろうと思います。

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