日本、低インフレでも一人負けの様相を呈す

世界的にインフレが進行しているのはご存じのとおりです。
その中にあって、日本がかなり低レベルのインフレで済んでいるのは、日本だけを見ていたらわからないでしょう。
しかし、それが良いことなのか?と聞かれればまったく良くないっ!
世界がインフレ退治に躍起になっている中で、日本は相対的に低インフレ。にもかかわらず一人負けの様相を呈しています。いったいどうなっているのでしょうか。
日本の物価上昇はマシだが
以下は主要国のここ最近の消費者物価の上昇率を示しています。

(世界経済のネタ帳)
日本も多少上昇していますが、ほかの国に比べればまだマシだといえます。このグラフだけを見れば・・・。
低インフレにも追い付かない賃金上昇
インフレが進んでいないなら、モノの値段が上がっていないので、他国よりも相対的に豊かになったのかといえば全くそんなことはありません。
以下は一人ひとりの実質的な豊かさを表す購買力平価ベースの一人当たりGDPの推移です。

(世界経済のネタ帳)
日本は最下位であるのみならず、インフレが進んだここ数年でも相対的に豊かになっていません。
他国に比べて、グラフの傾きが緩やかであることから、物価が上がっていないにもかかわらず、豊かになっていないことがわかります。
長引く実質賃金停滞という異常
この傾向は何もここ数年で表れた現象ではありません。30年以上前からずっと同じなのです。
ここ30年で日本の名目賃金はほとんど上昇していません。そして物価は多少上昇したため、実質賃金は減少を続けています。

(出所:厚生労働省)
ほとんどの国は30年で名目賃金が2倍程度上昇しているのに日本ときたら・・・。
他の国は物価が上昇しているとはいえ、給与の上昇がそれを上回るため、実質賃金も上昇し豊かになっている。これが普通の国の当たり前の姿だといえますが、日本は異常です(イタリアもかなりひどいが・・・)。
貧困化が加速中
その傾向は直近でも如実に表れています。
2022年(令和4年)に入り、日本も名目賃金が上昇しているわけですが、物価の上昇にまったく追い着いていません。そのため、実質賃金はマイナスが続いており、日本人の貧困化がますます進んでいます。

(出所:厚生労働省)
長引くデフレで、日本人の脳はデフレ病に侵されてしまいました。
この病は世代が変わらない限り完治不能ではないかとあきらめてしまいそうです。
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財務省がまき散らすウイルスによる病
内閣府は2023年3月8日、日本経済の需給ギャップが2022年10〜12月期、マイナス1.9%だったとの推計を発表しました。
依然として需要が弱すぎるのです。マイナスは2019年10〜12月期から13四半期連続という悪夢・・・。
どう考えてもさらなる財政出動が必要なのは明らかなのですが、財務省がプロパガンダとしてまき散らしているデフレ病ウイルスに日本人のほとんどが感染しています。
新型コロナどころではない悪性のウイルスです。
論理的思考をも蝕む疫病
デフレ病の症状は日本人の国防に対する考え方にも表れています。
内閣府の世論調査によれば、日本が戦争を仕掛けられたり巻き込まれたりする危険があると考える人は86.2%にも上ります。想定される相手は中国、北朝鮮、ロシアでしょう。
ところがです。自衛隊の規模を増強した方がよいと答えたのはわずか41.5%なのです。
危険が迫っているのに危険を放置してよいと考えている人が半数を占めるのです。いったいどういう思考回路か理解に苦しみますが、これがデフレ病の症状であることは明らかでしょう。
節約しなくては生きていけない生活に慣れ切ってしまったため、命にかかわる問題でも節約しようとするのです。
こんな状態では早晩日本は他国に蹂躙されることになると思われます。
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