今後の日銀に不安。リフレ派が窓際に追い込まれる

チェス2

リフレ派と呼ばれる人々がいます。

私めは少々誤解をしていたようですが、リフレ派は、金融政策だけで物価や景気を左右できると考えている人々かと思っていましたが、実際にはそうではないようです。

リフレ派の一人とされる経済学者の田中秀臣氏の話などを聞いていると、金融政策のみならず、財政政策の重要性を説いています。

2013年以降、悪夢の民主党政権から経済が多少なりとも立ち直ったのは、安倍政権がリフレ派を重用したからにほかなりません。

しかし、安倍首相は亡くなり、現黒田日銀総裁の任期も2023年4月8日で終わります。

日銀の主要メンバーはガラリと変わり、リフレ派は完全に駆逐されつつあるように見えます。これは日本経済再沈没の予兆ととらえることができます。






リフレ派の台頭による失業率低下


2023年3月19日、黒田日銀総裁の退任を前に、若田部副総裁が任期を終えます。若田部副総裁はリフレ派といわれており、日銀の正副総裁からリフレ派がいなくなるのは、10年振りのこととなります。

リフレ派の存在は日本経済に好影響を与えてきたといえます。

例えば失業率。リフレ派が台頭した2013年以降、失業率は確実に低下しました。

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(出所:ニッポンの数字)

リフレ派の勢力が弱体化する


2013年以降、黒田日銀総裁の右腕には常にリフレ派の副総裁がいました。前半は経済学者の岩田規久男氏。後半が前述の若田部昌澄氏ということです。

しかし、次期副総裁となる2人はいずれもリフレ派ではないと見られています。

正副総裁からリフレ派が1人もいなくなるのであり、リフレ政策が後退するのは時間の問題だと推測されます。

それでも救いなのは金融政策決定会合のメンバーである日銀審議委員の中にまだ2人のリフレ派が残るということです。ただし、9人中の2人ですから影響力の低下は避けられないでしょう。

IS曲線とLM曲線


経済低迷期に経済成長するためには、金融の緩和と財政支出の拡大が不可欠なのは中学生レベルの知能があれば誰でも理解できることです。

それはマクロ経済学におけるIS‐LM分析から簡単にわかるのです。

横軸にGDP、縦軸に利子率をとったとき、IS曲線は投資と貯蓄の関係から利子率の動きを示しています。

利子率が下がれば貯蓄が減り投資が増えるため、IS曲線は右肩下がりの曲線となります。

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また、LM曲線は通貨の需要と供給を通じた利子率の動きを表します。

利子率が上がれば通貨の人気が高まり需要が高まるため、LM曲線は右肩上がりの曲線となります。

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金融緩和と財政拡大の必要性が簡単にわかる


そして、IS曲線とLM曲線との交点がGDPということになります。

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財政拡大により利子率の上昇圧力が生じるわけですが(青ライン)、金融緩和により、利子率の下降圧力が生じます(赤ライン)

その結果IS曲線とLM曲線の交点(A)は右に移動し(B)、GDPの増加圧力が発生します。要するに国民が豊かになるということです。

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しかし、アベノミクスにおいてさえ、実際には金融緩和しか行われておらず、財政拡大はなされませんでした。

そのため、その効果は円高是正、株安是正、失業率の低下にとどまり、国民を豊かにするまでには至りませんでした。

アベノミクス以降でさえ、世界主要国の中で日本の経済成長率は最下位レベルであることがわかります。

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(出所:世界経済のネタ帳)

頼みの金融緩和が無くなれば再びデフレへ


3本の矢のうち、実際は1本で日本経済をなんとか支えてきたのですが、この1本すら無くなりそうなのが今の日本の姿です。

日本経済新聞などは金融緩和からの脱出と緊縮財政がいかにも正しいかのようなプロパガンダを垂れ流し続けています。

これは財務省の影響によるものだということは間違いないと思います。

これ以上、日経新聞を読んでいると洗脳はされないでしょうが、金を払ってまで読む価値はなく、アホらしいので購読をやめることに決めました。

新聞は、購読者数が減少しており、若年層にその傾向は顕著です。今後、新聞配達という職業は無くなるのは確実な情勢です。

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(出所:社会実情データ図録)

もはや新聞は死に体となりつつあり、真っ当な存在価値を失い、生き延びるためにはプロパガンダでもなんでもやる洗脳媒体となっています(もともとそういう傾向はあったが)。

テレビの将来


まだまだ強力に残っている洗脳装置は地上波テレビということになるのでしょう。

しかし、テレビの影響力も少しずつ確実に弱体化しているようです。

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(出所:社会実情データ図録)

とりわけ若い世代でテレビ離れが加速しているのは実に喜ばしい。

将来のテレビ衰退が約束されたに等しいからです。

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