新NISA、成長投資枠で投資できる投資信託を大幅に絞り込む予定

現行のつみたてNISAでは、投資できる投資信託を厳しく絞り込み、長期投資にふさわしい投資信託のみ投資可能とし、その数は約220本しかありません。
一方で現行の一般NISAではそういった制約はなく、どんな投資信託でもNISAで運用できます。
2024年からの新NISAにおいて、今の一般NISAにあたる部分は、「成長投資枠」といった形で継承されますが、その投資対象は現行と異なり、大きく絞り込まれるようです。
いったいどのような絞り込みが行われる予定なのでしょうか。
金融庁動く
日本では公募投資信託が約6000本も運用されています。
その中身は玉石混交であり、また規模の大きなものから、およそ投資信託とはいえないほど小さいものまでさまざまです。
現行の一般NISAでは上場株式などに加えて、これら6000本あまりの投資信託へ投資が可能となっています。
しかし、2024年からスタートする新NISAにおける成長投資枠で投資できる投資信託について、金融庁は大幅な見直しをする方針です。
具体的には長期投資に向かない投資信託は排除するということです。
短期的利益を目指す商品はNISA不適格
ではどのような投資信託が長期投資に向かないと判断されたのでしょうか。
キーワードは「デリバティブ」「毎月分配」「運用期間」の3つです。
まずはデリバティブから考えてみましょう。
デリバティブを利用した投資信託といってもいろいろあります。金融庁は為替変動リスクをヘッジするためにデリバティブを利用する投資信託は排除しない方針です。
排除するのは高いレバレッジをかけて、大きな利益を得ようとするような投資信託です。
わかりやすいのは日経平均の2倍、3倍の値動きをするように設計された投資信託などでしょう。これらは日経平均先物を利用した投資信託です。
あくまでも短期的な値動きで利益を上げようという性質の投資信託であり、長期的な資産形成を目的とする新NISAとは相容れないことは明らかです。
複利メリットを放棄するという愚はさせない
毎月分配型の投資信託も排除されます。
毎月分配型は過去の忌まわしい経験からもわかるように、運用がうまく行かない場合でも無理して分配をする傾向が強く、複利のメリットが得られないという致命的な欠陥があります。
長期的に資産を増やすには、複利のメリットをフル活用するのが望ましいと思いますが、毎月分配型はその対極にあるような商品であり、長期の資産形成に向きません。
商品性がポンジ・スキームに似ており、金融庁が新NISAの投資対象から外そうとしているのは至極まっとうな判断だといえるでしょう。
(関連記事)ポンジ・スキームを連想させる毎月分配型投資信託
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そもそも運用期間が短くては・・・
さらに排除されるのは、運用期間が20年未満の投資信託です。
NISAは長期運用が大前提ですから、短期間で償還を迎えるような投資信託が排除されるのは当然でしょう。
たびたび購入手数料などを払っていては投資元本が食われるだけ。これも妥当な判断だといえるでしょう。
もっともらしい嘘
このような絞り込みに対して、投資信託運用会社は、投資家の選択肢を狭めるとして反発しているといいます。
???。
金融知識が限られる一般投資家から、あらかじめ悪い選択肢を排除して、選択肢を狭めることはむしろ良いことじゃないの?と突っ込みを入れたくなります。
顧客本位などと、もっともらしいことを並べる金融機関ですが、もっともらしい嘘を並べているだけだと感じてしまうのは私めだけではないでしょう。
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