魅力的だった日本の不動産市場から魅力が失せていく

ビル

2022年夏まで、日本の不動産市場は、海外投資家にとって魅力に満ちていました。

日本は世界的に見て金利が低いため、安く円を調達し、利回りの高い不動産で運用すれば大きな利ザヤが確保できる。そんな思惑から日本の不動産市場には海外からのマネーが流れ込んでいました。

とりわけ人気だったのはやはり東京都心部。23区内なら迷うこともなく即買いというほどの人気だったといいます。

ところがこの流れが一気に変わりつつあり、海外投資家からの資金流入が滞りつつあります。






海外投資家、日本の不動産を見限る


海外投資家の日本の不動産への投資が急速にしぼんでいます。

2022年通年では前年比で12%増えていますが、問題は後半の落ち込みです。10~12月期だけを見れば、前年同期比で42%ものマイナスに転じてしまいました。

それでは海外投資家が、日本の不動産からそっぽを向きつつあるのはなぜなのでしょうか。

アセットアロケーションとリバランス


理由は3つ考えられます。

1つめとして、不動産の価格が株式に比べて堅調だったことです。堅調なのになぜ?と思うかもしれません。

キーワードはアセットアロケーションとリバランスです。株式の下落により、資産評価額に占める不動産の比率が上がってしまいました。

ここで適切な資産配分に戻すためには、不動産投資を抑える、あるいは売却して、株式の比率を元に戻さなければなりません。

そして不動産投資は減少するというわけです。

三井不動産と日経平均の動きを比べてみるとよくわかります。

●三井不動産(8801)
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2022年前半、日経平均は冴えないのに、三井不動産の株価は堅調でした。しかし、秋から急落しています。

リバランスの力が働き、不動産市況が悪化したため、三井不動産の株価も冴えない展開となったと考えられます。

金融不安を伴なう景気後退


2つめは世界的な景気後退懸念です。

国際的な金融不安がにわかに高まっています。金融市場の歯車が狂えば、金回りが悪くなる。

通常の景気サイクルにおける景気後退にとどまらないハードランディングになる懸念も高まっています。その懸念が現実化すれば不動産も暴落する可能性があります。それを警戒して、不動産への投資も減らしていると考えられます。

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新日銀総裁のお手並み拝見


3つめとしては、4月に日銀総裁が代わることです。

金融政策がただちに変わるとは思えませんが、いずれは黒田色が排除され、金融引締めに走るのではないかという警戒感から様子見を決め込んでいる節があります。

まずはお手並み拝見。金融政策の動向を見極めて方向感が出るまで投資を控えていると考えられます。

最後に


市場関係者への調査では、東京の不動産が2023年にピークをつけて下落に転じると考えている人が82%にものぼるといいます。

今後の不動産市況は波乱含みといわざるを得ません。要警戒。

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