東証は企業にプレッシャーをかける前に政府に物言うべき

日本橋

企業経営者たる者、企業業績に重大な責任を負っているのは誰しも認めるところでしょう。

加えて東証はこの度、企業経営者に対し、株価にも責任を持つべくプレッシャーをかけてきました。これは世界的にも珍しい事例だということです。

しかし、企業経営者が株価にまで責任を持たなければならないとなると、さすがに違和感を感じるのです。

企業経営者には業績を伸ばすことはできても、株価をコントロールすることはできません。

長期的な株価動向はともかく、短期的な株価変動は世の中のありとあらゆる事象に左右される。奇妙な違和感を感じるのは私めだけでしょうか・・・。






PBR1倍割れが半数以上とは・・・


2023年3月31日、東証はPBR1倍割れの上場企業に対し、株価を引き上げるための具体的な施策を開示、実行するよう要請しました。

PBR1倍割れは、企業の成長性が株主から評価されていないというのがその根拠です。

PBR1倍割れの企業は異例なのか?

決してそうではありません。PBR1倍割れの上場企業は約1800社にも達し、上場企業の半分以上にもなります。

日本を代表する企業、トヨタでさえ1倍割れとなっているのです。

ちなみにトヨタの株式時価総額は約30兆円、PBR1倍割れということは、自己資本だけで30兆円を超えるということであり、改めてトヨタの巨大ぶりにびっくりします。

トヨタ銀行などといわれるゆえんでしょう。

政府の責任を企業になすりつけるな


東証は、企業が資本の効率を意識しながら持続的に成長してもらいたいという。

しかし、世界を相手にしている企業ならいざ知らず、日本国内の売上に頼る国内企業にとって、成長を持続するのは困難なことは感覚的にわかるはず。

なにしろ日本経済が低成長なのですから・・・。

少ないパイの奪い合いになり、勝ち組と負け組に分かれていくことは間違いありません。

これはひとえに、消費増税や緊縮財政を続ける日本政府に問題があり、私企業にはどうしようもできないことです。

周回遅れの株主資本主義


それでも日本企業は、遅ればせながらも株主重視の方向に舵を切っています。

世界は株主重視の行き過ぎから振り子が戻っているにもかかわらず、日本はやること為すこと遅いため、周回遅れで株主資本主義が進んでいるというわけ。

そしてここ最近、株主還元で目立っているのが自社株買いです。

2022年は16年ぶりに自社株買いが最高を更新する模様です。企業業績は減益となっていますが、豊富な手元資金で自社株を買って、資本効率を良くしようというわけです。

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疑似バフェット指標(2023年3月末)


2022年も4月に入り、4分の1を過ぎました。日経平均の居所を確認しておきます。
(疑似バフェット指標についてはこちらをご覧ください。)

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現状は許容できる高値近辺であり、依然として、やや割高と見ます。

ただし、株主資本主義が発展途上の日本では、株価はかさ上げされがちであり、極端な安値は考えにくいでしょう。

2024年からの新NISAで日本株が買われるかどうか?日本株の動きは新NISAの投資動向により大きく左右されると思います。

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