高額医療費のキャップが外れて、日本人の平均寿命が短くなる日

医者

日本人が世界トップレベルの長寿国であることはよく知られた話です。

これにはいくつもの複合要因が考えられますが、国民が医療機関に気軽にアクセスできるというのは大きな要因の一つでしょう。

とにかく具合が悪くなれば医者に診てもらえるという安心感は大きい。これは日本では常識でも、世界の常識ではありません。

とりわけ対照的なのはアメリカの姿です。

しかし、日本人もいずれ、医療機関へ受診するハードルが高くなるかもしれません。日本の良さがまた一つ消える可能性があるのです。






アメリカ人、着実に短命化


以下は主要先進国の平均寿命の推移です。

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(出所:社会実情データ図録)

日本(黒線)のご長寿ぶりがよくわかります。

それに対して、アメリカ(赤線)の伸びが鈍い。2020年以降はコロナの影響で急落していますが、注目すべきはその前です。

コロナ前から、アメリカ人の平均寿命はピークを打って、短命化が進んでいます。

これはアメリカが国民皆保険ではなく、医療費が異常に高くて、貧しい人は医療にアクセスできないという実態があるからに違いありません。

アメリカの不当に高い医療費


それを裏付けるのが以下のグラフです。

横軸は1人あたり医療費を、縦軸は平均寿命を示しています。右肩上がりの曲線になるのが当たり前であり、平均に比べて右下にあるほど、高い医療費を払っている割に短命という最悪のパターンです。

逆に平均に比べて左上にあるほど、安い医療費で長寿という最良の結果となります。

20230405iryou.jpg
(出所:社会実情データ図録)

アメリカは最悪であり、日本が最良といえるのではないでしょうか。

アメリカがこんな結果になったのは、医療の自由化を進めたからにほかなりません。

医療費で自己破産という恐怖


日本の健康保険制度の素晴らしいところは、いくら高額の医療費がかかっても、一定の金額でキャップがかかり、自己負担が無尽蔵に増えない点です。

だから日本で医療費による自己破産をする人は皆無といえます。

ところがアメリカでは自己破産の原因のトップが医療費によるものです。体に不調を感じても医者に行けない、救急車を呼べない人が多いのでしょう。

無理して医者に診てもらえば自己破産してしまうという恐怖が襲い掛かる。

これでは平均寿命も縮むというものです。

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高額医療費制度に暗雲立ち込める


しかし、この日本の素晴らしい好環境をぶち壊そうとするものがいます。

2018年、高額医療費制度の運営主体が国から都道府県に移されました。もちろん、首謀者は財務省です。

高額療養費には国費が投入されているわけですが、いずれ国費の投入をやめようという魂胆が見え隠れしています。

都道府県には通貨を発行する権利がないので、国と違って、歳入の範囲で歳出をしていかないと夕張市のようになってしまう恐れがあります。

ユーロを採用しているヨーロッパ諸国と同じことです。

財務省は責任を都道府県に押し付けて、自給自足をさせることで、プライマリーバランスの悪化を防ごうとしているのでしょう。

国民の健康など知ったこっちゃないというわけです。

最後に


高額医療費のキャップが外れれば、日本でも医療費破産が発生することになるでしょう。

そのため、医療をあきらめる人も出てくるはずです。

財政破綻論の嘘に騙されてはならない。そして、人の道を外れた狂った政策を推し進める財務省には、怒りの感情しかわかないのであります。

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