証券会社の憂鬱(収益悪化)

証券会社の2018年度第1四半期は苦しい決算となりました。その要因は複数にわたっており、証券会社にとって今後の収益構造を再考しなければならない課題が突きつけられています。
(要因1)株式市場の膠着
第1四半期の日経平均の動きは22,000円を挟んでのもみ合い相場となりました。相場の方向感が出ないと投資家は動きようがありません。
売ることも買うこともできず、結果的に株式の売買高は低迷し、証券会社の株式売買の委託手数料は低空飛行となりました。
(要因2)投資信託の低コスト志向
ここ数年、投資信託の低コスト化が進展しています。販売時の手数料がかからないノーロード商品の増加、保有し続けた場合に負担する信託報酬率の低下により、今までと同じ金額を販売しても証券会社の身入りは減少しています。
証券会社と顧客の利益相反が顕在化しているということです。これは投資家にとって歓迎すべきことですが、証券会社にとっては頭の痛い問題です。もちろん全ての証券会社がそうだとはいいません。
(要因3)トレーディング収益の悪化
日銀の金融異次元緩和により、日本国債は市場の流動性がなくなり収益確保が困難となりました。海外債券についても概ね低金利で張り付いており、トレーディングによる収益拡大が難しい状態が続いています。
日銀の金融政策が若干方向転換したことで、環境の変化が期待されますが、依然として厳しい環境は続きそうです。
大手証券の法人部門を中心にマグロ漁業のような一攫千金型の収益が頼みの綱です。大型のIPOの主幹事獲得やM&A案件などがそれにあたりますが、安定収益とはいえないので今後の収益は振幅の激しいものとなりそうです。
証券各社の株価も軟調であり、日銀の金融政策変更を受けて銀行株が買われている中でも証券株は蚊帳の外となっています。収益構造の変化を投資家は厳しい視線で見つめています。
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