有能な経営者、無能な経済人であることがまたもや露呈する

猿

日本には個人金融資産が2000兆円もあるといいます。

日本人1人あたりにすれば平均1600万円(赤ちゃんまで含め)となります。

4人家族だったら全員で平均6400万円の金融資産を持っているという計算になりますが、ごく一部の富裕層を除いて、そんなことはないでしょう。

富は偏在しており、2000兆円のうち、1200兆円は60歳以上の中高齢者が所有しています。そして、この富の偏在は、治まるどころかますます加速しそうなのだからいただけないのです。






老々介護のなれの果て


なぜ高齢者への富の偏在はなくならないのか、あるいは加速するのでしょうか。

それは高齢化と密接な関係があります。

以下は日本人の平均寿命の推移です。

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(出所:厚生労働省)

さすがに最近は伸び悩んできましたが、男性は80歳ちょっと、女性は80代後半といったところです。

これだけ高齢化が進むと、相続人も高齢化していることが多くなります。相続する人も60歳を超えているといったケースは珍しくなくなりました。

一般的に言って、人生でもっともお金がかかるのは、子育てや住宅ローンなどの支払いに追われる40代から50代といったところでしょう。

また、お金がなくて結婚すらできないという20代、30代も増えています。

これは金融資産が高齢者層に多くとどまっているからと考えられます。

平均貯蓄額という虚構


金融広報委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)によれば、年代別の平均貯蓄額は以下のようになっています。

20代 344万円
30代 986万円
40代 1235万円
50代 1825万円
60代 3014万円
70代 2720万円

自分はそんなに持ってないぞ!と違和感を感じる人も多いはずです。

なぜなら平均は超富裕層の資産も含めて計算されており、一部の金持ちが平均を引き上げているからです。

中央値から見る実態


より、実態に近いものに中央値があります。

これは、例えば100人いるときに真ん中の50番目の人が持っている貯蓄額です。こちらはどうなっているのでしょうか。

20代 201万円
30代 400万円
40代 531万円
50代 800万円
60代 1400万円
70代 1500万円

いずれの世代でも冒頭に記載した1人あたり1600万円に届いていません。

この数字とて真ん中の数値ですから、こんなに持ってないよ~と言う人が半分近くはいるわけです。

社会保険料というステルス税金


日本はバブル崩壊後、デフレに陥って極端なまでの低成長(ほぼ横ばい)が続いてきました。

そのため、日本人は外国の人々に比べて相対的にどんどん貧困化しています。

バブル崩壊から30年以上経過したわけですが、実質賃金は30年経ってもほとんど増えていません。

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(出所:内閣官房)

岸田政権は、防衛予算の増大に増税を、子育て支援に社会保険料のアップを目論んでいます。

社会保険料などといえばもっともらしいですが、名前が違うだけで、庶民からお金を奪いとるという点で税金となんら変わりがありません。国民を貧しくする政策です。

経団連会長珍しく真っ当な主張


社会保険料のアップに対して、経団連が珍しく?真っ当な主張をしています。

経団連の会長は少子化対策に対する財源について、社会保険料の負担を増やすことは賛成できない、現役世代の可処分所得の減少に直結し、せっかくの賃金引上げに水を差すと発言しています。

極めてまともな認識に基づいた発言ではないでしょうか。賃金が伸び悩んでいる中で、社会保険料を上げればどうなるのか?「サル」でもわかることです。

可処分所得はようやく1998年(25年前)の水準に追い付きました。しかし、消費は増えているために貯蓄する余裕がなくなってきています。

消費増税、社会保険料負担の増大が家計を苦しめていることがわかります。

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(出所:内閣府)

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有能な経営者は経済音痴が常


経団連の会長はともかく、有能な経営者は国家財政を語るマクロ経済の話になると途端に無能になるのが一般的です。

サントリーHDの新浪剛史社長は、児童手当の所得制限の撤廃に反対だといいます。限りある財源で低所得者への手厚い経済支援を考えるべきだ、というのがその主張です。

企業経営の視点で考えればそうなのでしょう。

しかし、高所得者に児童手当を配布してもなんら問題はないし、高所得者層がお金をバンバン使ってくれなければ日本経済は良くなりません。

そもそも、国家は利益を上げるために存在するのではありません。それなのに限りある財源って・・・。経営者バカ一代が厚顔無恥に無知をさらけ出しているとしか言いようがありません。

国家は企業と違って、通貨そのものを生み出すことができる。この観点が企業経営者には決定的に欠けています。

したがって、企業経営者を国の経済運営に関わらせると、ろくなことはなく、間違った方向に進むのです。

新浪なにがしは、経済財政諮問会議のメンバーですが、経済のことがわかっていない人を重用する岸田政権にも大いに問題があります。

経営者バカ一代はほかにも


他にも先例があります。

例えばファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井氏です。かつて柳井氏はこんな発言をしていました。

「まずは国の歳出を半分にして、公務員などの人員数も半分にする。 それを2年間で実行するぐらいの荒療治をしないと。」

そんなことをしたら失業者があふれて、日本経済は滅茶苦茶になるでしょう。

また、ワタミの渡邉美樹氏は著書の中で、国の財政も企業と同じで、このままでは日本はつぶれると主張しています。

国の財政と企業が同じであるわけがない。こちらも経営者バカ一代で視野狭窄に陥っているといえます。

知的財産窃盗と資金脱出不能の連鎖


米空軍の元軍人で、国家安全保障会議のメンバーであったロバート・スポルティング氏は、著書の中で中国へ進出した企業が抱える問題について指摘しています。

企業が中国へ進出するとどうなるか?

まず、知的財産がかすめ取られます。そして、得るものがなくなれば用無しとなり、企業は乗っ取られるなどしてしまいます。

また、いったん中国へ投資した資金は利益を出しても、自国に戻すことは許されません。ひたすら中国で再投資を続けるほかない。

これが中国をここまで発展させた大きな原動力です。

しかし、企業経営者は資金を動かせないという問題を表に出すことはありません。そんなことをしたら、株主から責任を追及され、最悪、経営者の立場を追われるからです。

ひたすら中国へ再投資し、財務諸表上は問題なく利益を上げているかのように見せます。

しかし、中国の成長が終わっても新たな投資先に資金を振り向けることができない。このときに初めて問題は表面化することになるはずです。

最後に


スポルティング氏は、目先の利益を捨て、中国の安物製品から手を引くべきだと主張します。

西側民主主義国の一員として、日本人も総論では賛成する人が多いと思います。しかし、岸田政権が目指す増税路線、社会保険料のアップは個々人レベルでの対応を不可能にします。

いわゆる総論賛成、各論反対です。

早く路線変更しないと日本は中国に飲み込まれることになるでしょう。

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