輸出株が不振で、内需関連株が買われるという現象

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日本から製造業を取ったら何が残るというのだろうか?

資源がほとんどなく、食料の多くを海外に依存する日本が、外国から資源や食料を買うにはドルがどうしても必要です。

貿易における決済通貨は今でも米ドルが主役です。日本への輸入の7割以上、輸出でも5割以上はドル建てで行われています。

ドルをゲットするためには海外にモノを売るか、海外で作ってドルを直接獲得するほかありません。

しかし、ここ最近は輸出株が軟調・・・。にもかかわらず、内需株が好調なのです。いったいどうなっているのでしょうか。






かつて貿易立国、いまは・・・


日本はかつて貿易立国などと呼ばれたわけですが、最近はその面影はありません。

2000年代初頭までは毎年、多額の貿易黒字を叩き出していましたが、最近では貿易赤字が続いています。

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(出所:世界経済のネタ帳)

これには原子力発電がほとんど使われなくなったために、石油輸入が多くなったなど、さまざまな要因があるわけですが、一番の要因は円高でしょう。

2002年には1ドル133円ほどだった円が、2011年には1ドル76円にまで跳ね上がりました。

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(出所:社会実情データ図録)

これでは日本で製造しても利益が上がるわけがない。しかたがないので、企業は海外へ工場を持っていったわけです。

一度海外へ工場が移転してしまうと、円安に振れたからといってすぐに戻ってこられるはずがありません。

ましてや中国へ投資したら、投資資金を円にして日本に持ち帰ることはほぼ不可能となります。中国共産党の横暴で、片道切符しか手に入れられないのが実態です。

会計上は利益が上がっても、日本人が豊かになるわけではありません。

そして、この円高を放置した責任は当時の民主党政権と日本銀行にあります。

お人好し大国、日本の凋落


そんなわけで日本の製造業は海外へどんどんと逃げてしまい、中国では技術を盗まれまくり、日本の地位はどんどん弱くなって、中国は加速的に存在感を高めることとなりました。

日本と中国のGDPの推移を見れば力関係は一目瞭然です。

20230421GDP.png
(出所:世界経済のネタ帳)

日本の製造業は局地的には強い企業もあるわけですが、全体を見ればやはり弱体化したと言わざるを得ません。

最後の砦は自動車ですが、こちらもEVの台頭で雲行きが怪しくなってきました。

そんな中で、海外投資家から日本の内需関連株に熱い視線が注がれているというわけです。

消極的な買いの理由


もっとも、その理由は極めて消極的・・・。

日本経済は欧米に比べて回復が鈍すぎて、金利が上げられません。先進国の中では異様な動きであり、これが海外投資家にとって魅力だというのです。

なぜかといえば欧米諸国の株価との相関が低いため、分散効果が見込めるという理由。

まあ、単に保険かけて日本株でも買っとくか、という動きですから手放しでは喜べない話なのです。

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どんな銘柄が強いのか


具体的には食品、小売業、鉄道銘柄などが好調となっています。

とはいえ、なんでもいいってわけではありません。ではどんな銘柄が買われているのか?

商品の値上げを繰り返している企業の株価が高くなっているのです。

強気の商売を行える企業の株価が堅調だということがわかります。

商品に独自性があったり、ブランドイメージが良くて競争力があり、少々の値上げなど、もろともしないような企業は、コストプッシュ型のインフレにもかかわらず業績を伸ばしています。

最後に


コロナ禍も去りつつあり(世界はとっくに終わっているが)、世界的なインフレにもブレーキがかかり始めたようです。

値上げ後にコストが下がったからといって、またすぐに値下げとはいかないのは容易に推測できます。

そうなると先んじて値上げに踏み切れた強気企業はますます儲かることになるでしょう。

内需関連株も勝ち組と負け組の二極化が進みそうな気配なのです。

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