グループ人事に翻弄される運用会社。社長は天から天下り、去っていく

金融

日本の投資家、正確には投資信託に投資をしている投資家は哀れとしかいいようがありません。

なぜか?

それは、投資信託の運用会社のトップ人事を見ればわかります。

運用会社は、投資家の大事な資金を優れた戦略と信念を持って運用しなければならないはず。そして、その号令をかけるのはトップである社長であることは疑いようがありません。

ところが、日本の金融グループ内では、運用会社の立場は弱いとしか思えません。

運用会社の社長の座は、金融グループ内の天下り的存在でしかないケースが多い。そして、グループ内で中心的な存在である、銀行や証券会社の役員が横滑りで運用会社の社長に就任するケースが多いのです。

運用会社の社長の座は単なるポストであり、次の人事ローテーションまでのつなぎで社長になる人が多い。

そんな状況ですから、投資家の資産運用のために全力をあげるような態勢にはなってないと考えざるを得ないのです。






運用会社のヘビーローテーション人事


日本の大手投資信託運用会社の7割は、社長の在任期間がわずか3年未満でしかありません。

金融グループ内の他社の出身者が7割を占めているのが実態です。

専門性が高い資産運用の世界で、トップの7割が他社から来て、そのまた7割が3年未満で去っていく。これでいったい何ができるというのでしょうか。

単なる腰掛けと見るのが妥当なのではないでしょうか。

運用会社に素人社長がやってくる


日本の状況は海外と比べて異質です。

海外の大手運用会社では、社長の在任期間は5年から10年が4割を占め、そのうち6割は社長になる前に20年以上、運用会社での経験があるのです。

ところが日本では運用会社での経験もなしに社長になるケースはままあります。

また、海外では会社内での社内昇進が5割であり、日本のように半ば素人がパラシュートでやってきて、あっという間に去っていくなどということはありません。

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玉突き人事による社長就任


要するに、日本の運用会社のトップは単なるポスト、お飾りでしかありません。

いわゆる”上がり”のポストであり、その人が適任であるかどうかなど関係がなく、単なる玉突き人事の”結果”なのです。

次から次へと親会社の役員が退任しては、有終の美を飾るべく運用会社の社長の座に就いては去っていく。そこには高い理想や顧客志向という観点はないだろうと察しがつきます。

金融庁が金融グループの人事に物言い


この問題に金融庁が斬り込みました。

通常、トップが長い間変わらないと腐敗することは知られていますが、逆に短すぎても問題だと指摘したのです。

金融庁は、運用会社の経営トップの任期は、一定程度、長期であることが望ましいと踏み込んだ指摘をしています。

日本の大手金融グループの人事ローテーションを見れば、極めて真っ当な指摘だといえます。

投資信託は残飯処理用の器


かつて、株式投資信託は、公募で売れ残った株式を引き取らせる、いわば残飯処理のためのごみ箱のような存在であったと記憶しています。

残飯処理の投資信託を買った投資家がどうなるかは言わなくてもわかるでしょう。

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