ポジショントークを繰り返す経団連という無責任団体

先日、経団連の会長がまともなことを言っていたと書いたのですが、まったくの誤解であることがわかりました。
経団連の会長は、少子化対策のために社会保険料をアップすべきではないという趣旨の発言をしておりましたが、その前提条件があったのです。
経団連も少しはマシになったかと思えば、まったくのところそうではありませんでした。
長年の体質は一朝一夕に変わるものではなく、なんとかは死ななきゃ治らないという言葉の重みをずっしりと感じるのであります。
経団連の発言に失望しきり
経団連の会長は、政府の少子化対策の財源について、消費税も当然議論の対象になってくるとふざけた発言をしていたのでした。
法人税は景気の波で不安定になるので、少子化対策に適さないということも忘れずに付け加えていたのであります。
さすがは自分たちのことしか考えない財界人。
消費税率を上げれば国民はますます貧困化して、少子化が改善されるはずがないのに消費増税を推し進めたいのでしょう。
大企業は海外の売上を当てにしており、日本の消費者など相手にしていないということなのだろうと思います。
日本人が貧しくなろうが、海外で売れればどうってことない。しかし、儲けを法人税で取られるのは困るという魂胆が見え見えなのです。
こんな連中が政治に影響を与えていると思うと暗澹たる気持ちとなるのでありんす。
ポジショントークしか言わない経団連
所得税や法人税など、直接税は景気の変動に対して、悪影響を中和させる効果があります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
(関連記事)優れた景気の自動安定化装置。しかし、その機能は弱体化された
経団連は株主資本主義の代弁者であり、日本でも株主資本主義が進行していることは明らかです。
そしてその代わりに差し出された獲物は消費税・・・。その証拠はあります。
法人税率と消費税率の推移を比較すれば、トレードオフの関係になっていることは誰の目にも明らかでしょう。

(出所:財務省(一部加筆))
消費税のアップに成功すると法人税が下がる、この繰り返しがここ30年にわたって継続しているのですから。
言ってることが支離滅裂という無責任
経団連会長はまともなことも言っています。
インフレが起これば賃上げでカバーすることが重要であるとし、全世帯の所得の中央値が2019年に374万円であったところ、1994年の水準である505万に引き上げるべきだとしています。
それにしても約30年も前の所得から中央値で130万円以上減っているとは尋常ではありません。
そして、消費増税をしたら所得水準が上がるわけがない。言ってることが自己矛盾を起こしており、支離滅裂です。頭が〇いのかと経歴を見れば、東京大学経済学部卒・・・。
東大でもこのレベルかと思うと日本の知的退廃と恥知らずなポジショントークには失望せざるを得ないのです。
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年を追うごとに貧困層が増える
以下は全世帯の所得分布を、年別に比較したものです。

(出所:厚生労働省)
年を追うごとに低所得の比率が増えていることがわかります。消費増税をして、この状況が改善されると思っているとしたら、相当なレベルに達した馬と鹿のミックスだといえましょう。
市場原理主義者は政治に向かず
経団連の会長となれば、日本の上場企業のトップクラスの人材です。
当然海外での売上が大きい会社が多くなると思います。ちなみに現会長がトップを務めた企業は海外売上に約6割依存しています。
日本経済がぶっ壊れても影響は小さいのでお構いなしといったところなのでしょうか。
日本メーカーの海外現地生産比率は着実に増加しています。

(出所:内閣府)
利益のためなら、日本メーカーさえ、ジャパンパッシング。財界人は利益を追い求めるのですから仕方のない面はあります。
しかし、経団連の会長たるもの、財界の代表という立場だけでなく、日本人全体のことを考えてもらいたいと願うのは私めだけではないでしょう。
そして、財界人を政治の世界に関わらせてはならないと考えるのです。
なぜなら、彼らは利益のことだけを考えてきた市場原理主義者であり、利益を追い求めず、国家の安全を追い求める政治の世界とは水と油だからです。
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