静かなる金融危機。デジタル取り付け騒ぎがジワジワ広がる

デジタル

2023年に入り、アメリカの地方銀行の経営破綻が相次いでいます。これはまだ序章ではないかとの見方もあり、アメリカでは取り付け騒ぎが起きています。

なにしろ同じような銀行が200くらいはあるというのですから・・・。

取り付け騒ぎといっても、一昔前のように窓口に人が殺到するようなことはありません。

今、アメリカの金融市場で何が起きているのでしょうか。






見えない取り付け騒ぎ


アメリカで、連続して2つの地方銀行が破綻したのはご存じのとおりです。

長らく続いた低金利が、インフレによる金融引締めによって一気に流れが変わり、その反動に耐えられなくなった銀行に問題が噴出してきたと見ることができます。

預金者は、銀行を信頼しなくなっており、取り付け騒ぎが起きているわけですが、いまや時代は移り変わり、銀行もネットの時代です。

取り付け騒ぎもインターネット上で目に見えない形で起こっており、ニュース映像に流れるような形の取り付け騒ぎにはなっていないため目立ちませんが、その騒ぎはかなりの大きさです。

アメリカ人がタンス預金!?


アメリカのある調査会社によれば、預金の安全性について不安を感じる人の割合はなんと48%にも及ぶといいます。

これはなんとリーマンショック時を上回る比率なのです。ちなみにリーマンショック時は45%でした。

そして、実際にアメリカ人の5人に1人は、預金を銀行から引き出して、自宅の金庫などに移して保管しているというのだからびっくりです。

そっちのほうが余程危険だと思うのですが・・・。

また、金に資金を逃避させる動きが広がっており、金価格は至上最高値になっています。

20230508gold.jpg
(出所:社会実情データ図録)

やはり金はインフレや有事に強いといえるのではないでしょうか。

リーマンショックと株価


リーマンショック時に株価はどうなったのか、振り返ってみました。

NYダウ
20230507NY.png

リーマンショックから約1年半でNYダウは半値となってしまいました。

日本株はどうだったのでしょうか。

日経平均
20230508_225.png

18000円台から7000円台までつるべ落としのように下落しています。

リーマンショックから立ち直ったのは、中国の莫大な財政支出によるところが大きい。

しかし、もし再びリーマンショック並の金融危機が来ても、今の中国経済に世界を立ち直すだけの力はなさそうです。

リーマンショック以降の過剰投資が在庫の山となっているからです。人が住まない高層マンションがゴーストタウン化していることからもそれは明らかでしょう。

インドには中国に取って代われるだけの力はまだありません。世界の牽引役がいなくなるということで、金融危機からの脱却は困難を極めると思われます。

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金融リテラシーと不安の関係


ところで今回のアメリカの金融不安への態度について興味深い話があります。

学歴が大卒以上の人が金融不安を感じる比率は36%なのに対し、それ以外では54%と高くなっています。

あくまで一般論ですが、教養の高い人は、一定金額まで預金が保護される仕組みを知っていることが多いのではないかと考えられます。

また、世帯年収が10万ドル未満の層は、10万ドル以上の層に比べ、金融不安を感じる率が高いという結果となっています。

所得が少ないほうが貯蓄も少ないのが一般的であり、その分、預金が保護される可能性が高いと考えられるのに、不安を感じる人が多いというのは金融リテラシーの高低の違いであると推測します。

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