アメリカ経済に変調の芽。導火線に火はついた

爆弾

アメリカ経済は明らかに変調をきたしています。

FRBが2023年5月8日に発表したところによれば、銀行の貸出態度は厳しくなっており、また貸し出す際の調達金利とのサヤ(貸出スプレッド)が大きくなっています。

銀行とりわけ地方銀行がおかしくなっていますが、この異変はやがてノンバンクに飛び火するという見方も多くなっています。

それにしてもアメリカの銀行を取り巻く環境はなぜ急速に悪化したのか、そして今後はどうなっていくのでしょうか。






放置された火種、地方銀行


世界経済、とりわけアメリカ経済が、コロナ禍における大規模金融緩和の副反応に苦しんでいます。

とりわけ厳しい状況に陥っているのが、地方銀行です。巨大銀行は、リーマンショックの反省から厳しい規制と監督下に置かれているわけですが、それに比べて地方銀行は、それほどでもありませんでした。

アメリカの地方銀行の問題は先送りされたのであり、これは日本の地方銀行とそっくりの構図となっています。

甘いリスク管理で、お茶を濁してきたわけですが、2022年以降のインフレにともなう、金融の急速な引き締めが、地方銀行の首を一気に締め上げました。

銀行危機の原因


危機に陥っている銀行に共通しているのは、低金利下において、固定金利で多くの貸出を行ったことです。

金利の急上昇によって、それらの貸出債権の時価評価は大きく目減りすることとなりました。

破綻したファースト・リパブリック・バンクなどは長期固定の住宅ローンをバンバン貸し付けた結果、貸出債権の含み損が自己資本を上回り、債務超過に陥ってしまいました。

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商業用不動産の暴落が迫る


FRBは商業用不動産が爆弾を抱えていると指摘しています。ここ10年で銀行から商業用不動産への融資は2倍に膨れ上がっています。

預金ばかり集まって貸出先の当てがない銀行が不動産融資を熱心に行ったからです。これはバブル期の日本の状況にも似ています。

ところがオフィス需要は減退・・・。

今のところ問題は表面化していませんが、もはや時間の問題だといえます。

なぜなら、不動産取得のために借入をしていた物件所有者の借り換え期限がどんどんとやってくるからです。

銀行は、自己資本を保つために貸し渋りに走り、借りられたとしても金利は高くなる。借りられなくなれば物件を処分するほかなく、安値で売り払うほかなくなります。

要するに不動産価格も下落が予想されるわけです。

アメリカ経済の変調を示す指標


貸し渋りが広がれば、企業の倒産も多くなり景気は悪化することになるでしょう。

変化はすでに表れています。

以下はアメリカのマネーストック(※)の推移です。

20230510m2.jpg

2022年後半から減少に転じました。

これはなんと世界恐慌時の1933年以来だといわれています。要するに世界恐慌が迫っている可能性があるということです。

世界経済は今だアメリカに大きく依存しており、アメリカが転べば世界が転ぶことになる。今後の米金融市場動向からは目が離せません。

(※)マネーストック
マネーストックとは、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量をいう。具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などが保有する通貨の残高のことであり、現金、預金を足したものをいう。


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