楽天、モバイル市場に参入する意味はあったのか。MVNOで十分だった!?

ここまでスマホ料金が劇的に安くなるとは想定外だったとはいえ、楽天モバイルの苦境ぶりは深刻です。
三木谷社長は後悔しきりなのではないかと想像します。やんなきゃよかったと。
これまで自社回線を増やして、一人前のMNOになろうと巨額の投資を、借りていたKDDIの回線を解約してきました。
ところが、財務的に厳しくなり再びKDDIの回線を借りる方向へと舵が切られています。
KDDIの回線を頼りにするのならば、格安スマホ(MVNO)と大差ありません。最初からMVNOのままでよかったんじゃないの?と考えるのは私だけではないでしょう。
楽天はモバイル事業に振り回されて、ダッチロール状態に陥っています。
中途半端な存在で魅力減
楽天モバイルはこれまで、人口の少ない田舎ではKDDIの回線を利用し、都市圏は自前の回線で賄えるよう基地局整備に邁進してきました。
しかしながら、金がかかり過ぎて赤字垂れ流し状態なのはご存じのとおりです。
楽天モバイルはプラチナバンドが使えないという弱点もあり、楽天モバイル=つながりにくい、というイメージが定着してしまいました。
要するに安かろう悪かろうということです。
しかし、安さもまた中途半端。コストパフォーマンスを求めるならば格安スマホのほうが魅力的ですらあります。
二極化が進む中、楽天モバイルはどっちつかずの中途半端な存在になっていたと考えられます。
MVNOのようなMNO
貧すれば鈍するというべきか。楽天モバイルは2023年6月から東京23区や大阪、名古屋などの大都市でもKDDIの回線を借りるといいます。
利用者が圧倒的に多い大都市で、つながりにくいというのはサービスとして致命的欠陥です。
その欠陥を修正し、契約者数をなんとか増やしたい。そして、自社回線の設備投資費用も抑えたいというのが楽天モバイルの狙いだと思います。
なんだかみじめな感じもしますが・・・。半ばMVNOに戻ったようであり、それなら最初からMVNOのままでよかったんじゃないとの思いがこみ上げてきます。
MVNOのままでも楽天モバイルはかなりの存在感がありました。しかし、勝負に打って出て、泥沼にはまってしまった感が否めません。
以下は楽天のここ10年の株価推移を日経平均と比べたものです。

日経平均と比べても明らかにパフォーマンスが下回っています。
とりわけ2017年あたりからの乖離がひどい。楽天モバイルがMNOのサービスを開始したのが2020年ですが、準備段階から苦戦することを株価は見抜いていたといえそうです。
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KDDI回線でもデータ無制限は魅力
楽天モバイルは2023年6月から「最強プラン」という新サービスを提供します。
何が変わるかといえば、KDDIの回線にローミングしてもデータ高速通信が無制限になるということ。
最後の切り札といったところなのでしょう。KDDIの回線を使えれば、つながりにくいという問題は解消できそうですし、KDDIにローミングしてもデータ通信無制限は確かに魅力的です。
KDDIにとっては敵に塩を送るようなものですが、うま味はあるのでしょう。2022年3月期は楽天モバイルからのローミング収入で700億円を超える増収効果があったと見られています。
今回の「最強プラン」の実現は、KDDIのローミング料金値下げによるものだと思われます。設備投資を抑えたい楽天モバイルと、収益を確保したいKDDIの思惑が一致したのだと思われます。
最後の切り札、残り時間は少ない
2023年1月末で楽天モバイルの契約数は452万件です。
全件がMAX料金である3278円を支払ったとしても年間の収入は約1800億円にすぎません。
ドコモは約8300万件、KDDIは約6100万件、ソフトバンクは約4800万件の契約を抱えます。
楽天モバイルとは桁が一桁違います。楽天モバイルとしては早く1000万件の大台に乗せたいところでしょう。
半分MVNOに戻ったような形となりましたが、可能性は多少残されていると思います。切り札はデータ無制限で安いところだけですが。
データ無制限、速度制限なしで3278円は確かに安い。大手キャリアの約半値です。
さて他社がどう出るか?他社が追随してくれば楽天モバイルの魅力はなくなります。
「最強プラン」は楽天モバイルにとっては最後の勝負といえるのではないでしょうか。残された時間はあまりありません。
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