新NISA、一部運用会社の思惑と金融庁の思惑が激突!

チェス2

日本には6000本を超える公募型の株式投資信託があります。その中身は玉石混交。

ほとんど放置プレーのようなファンドも入っているし、コストが高いもの、安いもの、そしてデリバティブを駆使した複雑な商品もあります。

新NISAに限ったことではありませんが、長期的な資産形成には不向きの商品も紛れ込んでいます。

というわけで、このたび新NISAの対象となる投資信託が約1000本発表されたわけです。

その選択の中で、一部運用会社が商品の選定に関し、猛烈な反発をしていたことはなかなか興味深い事象なのです。






ポンジスキームは排除


2023年6月21日、投資信託協会は新NISAの成長投資枠で投資できる投資信託、約1000本を公表しました。

今後、さらに追加される予定であり、最終的には約2000本が投資対象となる見込みです。

なお、現行の一般NISAでは、6000本を超える投資信託すべてが投資可能となっており、中にはNISAにはふさわしくない(NISAでなくてもよろしくないものもある)投資信託で運用している人も数多くいます。まったくもって、もったいない。

まず、新NISAではずされたのは毎月分配型の投資信託です。これは極めて賢明な判断だといえます。

なにしろ毎月分配型の投資信託の仕組みは、典型的な詐欺スキームであるポンジスキームに極めて似ているからです。

(関連記事)ポンジ・スキームを連想させる毎月分配型投資信託

ブルベア投信という投機商品


また、デリバティブ取引を駆使したレバレッジ型の投資信託も除外されました。こちらも賢明な判断だといえるでしょう。

レバレッジ型の投資信託は短期の値幅取りを目的としており、また、相場の下落時に利益を出せる商品もあることから、一定の存在価値はあります。

しかしながら、ブルベア型ファンドの特徴として、長期で保有するとベンチマークの実際の値動きからは大きく乖離していくという点があります。

長く持てば持つほど不利となるのが一般的であり、長期投資を前提とするNISAにはふさわしくありません。

(関連記事)ベア型ETF購入の是非についての考察

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駄々っ子のような運用会社


ところで、今回の新NISAの対象商品発表ですが、予定よりも1か月ほど遅れました。

なぜかといえば、一部の運用会社がデリバティブ取引を利用した商品が外されるのは納得がいかないと猛反発したからです。運用効率を上げるのに、デリバティブを使用することは合理的であるというのがその主張です。

???

専門的な知識がなくても、ある程度、安心して投資できるよう広く投資家を募ろうというのが新NISAの目的の一つであるはず。

運用効率って、ひょっとして投資家のためじゃなくて、運用会社の利益確保のためじゃないの?と突っ込みたくなります。

こんな運用会社の主張をまともに聞いていたら、良い制度も悪い制度に変わってしまいます。

顧客本位という嘘


最終的にデリバティブ取引の利用は、ヘッジ目的に限るということで事は落ち着いたわけですが、金融庁は運用会社の姿勢に不信感を持っているようです。

どんな不信感なのか?

運用会社の手前勝手な拡大解釈により、ヘッジ目的の意味が広がってしまうことです。

今回の不毛な論争、俯瞰してみれば結局のところ、投資家のことを考えているのは金融庁のみであり、運用会社は自分たちの利益しか考えていない。

そして、顧客本位などというのは、単なる綺麗事であり、虚構であることがはっきりしたとしか思えないのです。

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