楽天G、資金繰りに奔走。打ち出の小槌にも限界がある

楽天Gが窮地に陥っています。
資金繰りに汲々としており、なんとか資金を確保しようと必死の様相・・・。楽天Gの足を引っ張っているのは、ご存じのとおり楽天モバイルです。
楽天Gは楽天銀行に続いて、楽天証券HDを上場させて資金調達を図る構えです。
しかし今後、巨額の社債の償還が相次いでやってくる。償還資金をどうするのか?
そして、楽天のピンチは株価に如実に現れているといえます。
新たなる資金調達手段
楽天証券HDが東京証券取引所へ上場を申請いたしました。
その目的はもちろん、楽天Gの資金調達にあります。現状、楽天証券HDの株式は楽天Gが100%保有しています。
楽天Gは楽天証券HD上場にあわせて、保有株の一部を売り出すことで資金を調達するというわけで、その額は1000億円程度になると予想されています。
しかし、楽天Gが抱える負債(主に社債)は大きく、今後数年にわたり次々を償還を迎えるのです。
2023年中にも780億円、2024年には3000億円、2025年には4000億円が償還時期を迎え、楽天Gは来年、再来年と大きな試練が待ち構えています。
格付けがみるみる下がる
新たな社債を発行して借り換えられればよいのですが、話はそう単純ではありません。
なにしろ楽天Gの格付はみるみる下がり、信用コストが大きくなっているし、第一買い手がつくかもわかりません。
また今後、物価上昇にあわせて金利が上昇すればただでさえ金利負担が増します。
ちなみに大手格付会社の楽天Gの格付は以下のとおりです。
S&P:BB
JCR :A-
R&I :BBB+
日本の格付会社、JCRとR&Iは総じて甘い傾向にあるというのが個人的印象であり、S&Pの格付がもっとも実態に即していると思います。
S&PのホームページによればBB格付の考え方は概ね以下のようなものです。
「債務者は高い不確実性や、事業環境、金融情勢、または経済状況の悪化に対する脆弱性を有しており、状況によっては当該金融債務を履行する能力が不十分となる可能性がある。」
楽天G袋小路
今後5年間に償還を迎える社債は約1.2兆円!
その間に楽天Gが黒字化するかも見通せません。楽天モバイルは2023年6月から最強プランという新プランを導入し、起死回生をもくろんでいるわけですが、その効果は今ひとつといったところ。
2023年6月は契約件数が10万件ほど増えた模様ですが、合計してもまだ500万件程度といったところであり、大手3社とは桁が一桁違います。
この程度では楽天Gが黒字化するとは思えず、残された選択肢は設備投資の縮小くらいしか思い当たりません(既にやっているが・・・)。
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楽天モバイルの苦悩
楽天モバイルの苦境ぶりは数字を見ればわかります。

(出所:総務省)
サービスを開始したばかりだから仕方がないという見方は楽観的すぎるようです。
なにしろ他社も低価格帯のサービスを次々と打ち出し、楽天モバイルのシェアは思いのほか伸びません。

(出所:総務省)
楽天Gはありとあらゆる資金調達に打って出ています。
楽天Gの株主にとって、痛しかゆしとなったのは2023年5月の公募増資です。希薄化の影響で株価は大きく下落してしまいました。

失望の投げ売りが殺到したことがわかります。
楽天の今後は?
楽天Gは今後どうなっていくのでしょうか。
楽天モバイルが突如として躍進するとはとても思えません。楽天Gとしては、被害を最小限にとどめるほかありませんが、その道筋すら見えてこない。
今後の予想として、悲観的になってしまいますが、とにかく数ある子会社を切り売りして、資金を調達し縮小均衡を図ったうえで、楽天モバイルをグループから完全に切り離し、三木谷氏の私企業として存続させて、三木谷氏には経営責任として楽天Gから去ってもらうくらいしか思い当たらないのです。
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