売れ行きは好調なのに業績は下降する投資信託運用会社

昨今の投資ブームにより、投資信託の売れ行きも好調です。
投資信託(ETF除く)の残高は、2023年3月末で91兆円にまで増加しており、1年で2兆円増えました。当然、投資信託を運用する運用会社の収益もその追い風に乗って増加しているかと思えば、逆に減少しています。
今後もこの傾向は続くと思われ、運用会社の再編が進むものと推測します。ではいったいなぜそのようなことが起きているのでしょうか。
運用会社の貧乏暇なし現象
投資信託の売れ行きは堅調なのに、運用会社の収益が縮小しています。
2023年3月期、運用会社の多くは減益となりました。投資信託はたくさん売れているのに、収益が悪化しているのはなぜなのでしょう。
その理由は2つに集約できると思います。
1つめとして、売れ筋の投資信託がインデックス型に偏ってきたことです。日経225やS&P500といった指数に連動する投資信託の運用は極めて機械的です。
ベンチマークたる指数に連動するよう同じ銘柄を組み入れればよいだけ。
企業の内容を調査したり、分析する手間はありません。運用コストが少なくて済むため、信託報酬は安くなります。
インデックス型であれば、信託報酬は安ければ安いほどよいのは当たり前です。
そして、消耗戦とも思える信託報酬引き下げ合戦が続いています。来年からの新NISAでの資金取り込みに向けてさらなる引下げ競争が起きており、現状ではチキンレースの様相を呈しています。
賢明なる投資家増える
昨今の投資家はコストに厳しい。そのため、アクティブ型よりも低コストで済むインデックス型の投資信託へ集中的に資金が流れています。
2021年度には半分以下だったインデックス型の売れ行きが2022年度には7割程度にまで一気に上昇しました。
投資家は極めて賢くなっており、金融機関の収益重視の罠にはまりにくくなっているといえます。
これは巨額の資金を運用する機関投資家の投資行動に顕著に表れています。

(出所:金融庁)
インデックス型のパッシブ運用の選好度がどんどん高くなっていることがわかります。
アクティブ型投信の罠
それもそのはず、高い信託報酬を支払うアクティブ型の投資信託を買っても、多くの場合、インデックス型のパフォーマンスに劣ってしまうのが現実だからです(日本は多少マシですが)。
その傾向は長期に保有すればするほど高くなっており、10年保有してパッシブ型に買っている可能性は3分の1程度しかありません。これは高いコストが足を引っ張っている面もあろうかと思います。

(出所:金融庁)
冷静に考えれば、アクティブ型の投資信託を買うのはバカらしいと考えられます。
![]() | 個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法 [ 志村 暢彦 ] 価格:1,650円 |

生き残れる運用会社は?
今後もインデックス型運用の比率は高止まりするのは確実と思われ、投資信託の残高が増えても運用会社の収益は増えないでしょう。
そして、運用会社の合従連衡が進むのではないでしょうか。
生き残れる運用会社は、ローコストで大量の資金運用ができる巨大運用会社と、優れたアクティブファンドを持つ小粒でもピリリと辛い運用会社だけだと思います。
シャープレシオから考える
投資信託がリスクに見合った収益をあげているかどうかを評価するために用いられる指標にシャープレシオがあります。
シャープレシオが大きいほど運用成績がいいことを表しています。
シャープレシオの目安は以下のとおりです。
~0.5 悪い
0.5~1.0 普通
1.0~2.0 良い
2.0~ 非常に良い
0.5~1.0 普通
1.0~2.0 良い
2.0~ 非常に良い
参考にこの10年でシャープレシオが1.0以上の投資信託をあげておきます。
(国内株式型)
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
基準価額 33,867円 シャープレシオ 1.05
三井住友DSスーパー小型株ポートフォリオ
基準価額 33,527円 シャープレシオ 1.05
(国際株式型)
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)
基準価額 51,676円 シャープレシオ 1.17
野村米国NASDAQオープンBコース
基準価額 26,973円 シャープレシオ 1.04
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)
基準価額 92,700円 シャープレシオ 1.03
(2023年7月28日現在)
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
基準価額 33,867円 シャープレシオ 1.05
三井住友DSスーパー小型株ポートフォリオ
基準価額 33,527円 シャープレシオ 1.05
(国際株式型)
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)
基準価額 51,676円 シャープレシオ 1.17
野村米国NASDAQオープンBコース
基準価額 26,973円 シャープレシオ 1.04
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)
基準価額 92,700円 シャープレシオ 1.03
(2023年7月28日現在)
↓↓応援クリックお願いします↓↓

にほんブログ村
![]() | 38年連戦連勝 伝説の株職人が教える 究極の神チャート術 株は3つのサインが読めればいい! [ 相場師朗 ] 価格:1,650円 |

- 関連記事
-
-
昨日の友は今日の敵。ファンドラップ市場に運用会社が直接参入 2022/11/10
-
仮想通貨はバブルなのか?それとも正当な価格なのか? 2018/02/24
-
第一生命が保険をネットで販売予定。うまくいかないと思うが・・・ 2020/07/04
-
証券業界、コロナ禍で対面とネットの明暗分かれる 2020/05/12
-
りそな銀行の外貨建て保険手数料引下げ要請は美談化しすぎ 2020/04/21
-
コメント