バフェット指標が当てにならなくなっている原因は何か

米国債の格下げをきっかけとし、アメリカの金融市場に冷や水が浴びせかけられました。
格下げを機に、金利は上昇、株価は下落、そしてその余波は当然日本にもやってきます。
そもそも、米国ダウは7月下旬にかけ、13連騰と強気相場が続いており、調整が迫っていたところにそのきっかけがやってきたということでしょう。
それでも米国株はまだまだ高い。バフェット指標から考えれば、異様な高株価が続いているように思えます。
しかし、考えてみればバフェット指標そのものが、時代にそぐわなくなってきている面もあろうかと思います。
いったいどう考えればよいのでしょうか。
バフェット指標は時代遅れ?
バフェット指標とは、株価の割高・割安を判断する指標です。
具対的には、株式の時価総額を名目GDPで割り、パーセント表示にしたものです。
一般に100%を上回れば株価は割高、下回れば割安とされます。ウォーレン・バフェット氏はこの指標を重視すると言われています。
この指標、日本の株式市場に当てはめてみても株価は割高となります。

(出所:株式マーケットデータ)
2015年以降は一時の例外を除き、一貫して100%を上回っています。
バフェット指標を鵜呑みにして投資をしていたら、大損をしていたということになってしまいます。
GDPの伸び悩みを分解してみる
ご存じのとおり、GDPは国内総生産のことを指し、一定期間内に国内で産出された付加価値の総額となります。
付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値のことです。
単純に例えるなら、付加価値とは儲けのことですので、GDPによって国内でどれだけの儲けが産み出されたか知ることができるわけです。
日本のGDPは政府(財務省)の愚策により伸び悩んでいるわけですが、中身を分解すると、大企業と中小企業では、1人あたりの付加価値額の伸びが異なっていることがわかります。

(出所:中小企業庁)
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大企業と中小企業の格差による影響
これにはいくつかの要因が考えられますが、大企業は株式を上場していることが多く、株主によるプレッシャーが強いために、株主資本主義が労働生産性を向上させている面もあろうかと思います。
そのため、日本全体ではGDPが停滞していても、上場企業に限れば、業績は好調ということがままあるわけです。
これがバフェット指標が当てにならなくなっている原因だろうと推測します。
ただし、株主資本主義が行き過ぎれば、振り子は元に戻ろうとする。アメリカでは若干振り子の揺り戻しが起きているようです。
(関連記事)アメリカ、株主資本主義の是正へ微妙に動き出す。やったふり?それとも・・・
そう考えると即座にバフェット指標が無益であるとはいえないと思います。
100%という基準が妥当であるか、それがその時々によって変わってくるということなのでしょう。
疑似バフェット指標(2023年7月末)
2023年7月も終わりました。
株価の居所を確認しておきます。
(疑似バフェット指標についてはこちらをご覧ください。)
この指標も上記の罠から逃げられるわけではないという点には注意が必要です。

現状の株価水準の評価は非常に難しい。
しかし、岸田政権下で、この水準をずっと保つことは難しいと思います。
隙あらば増税路線を打ち出してくる岸田政権では、GDPは思うように伸びないでしょう。可処分所得の減少と輸入物価の上昇によるインフレが進むだけで、国民は豊かにはなれないはずです。
というわけで、株価は依然として割高と見ます。
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